刑事告訴の現実

弁護士石井です。

法律事務所では、刑事告訴の相談を受けることも多いです。

その際に受ける印象は、みなさん、刑事告訴に期待しすぎである、というもの。
刑事告訴をすれば、相手が逮捕される、刑務所に行く、許せないから刑事告訴をする、という
感情的な方の相談がかなり多いです。

どのような被疑事実によって告訴するかにもよりますが、多くの場合、刑事告訴は受理されるまでにも時間がかかり、受理されてから現実の捜査が始まるまでにも時間がかかり、まして刑事裁判になるまでは相当の期間がかかります。

ある先輩弁護士は、刑事告訴のこのような実態から、告訴には全く期待していない、と言っていました。

統計によると、告訴から始まった刑事事件の場合、他の事件よりも起訴率は低いのです。

書籍でもこの点について触れたものがあります。

「一般からの告訴・告発を端緒とする事件の起訴率は、かなり低いといえる。しかも、その不起訴理由を見ると、既済全事件では60パーセント以上は「起訴猶予」であり、「嫌疑不十分」、「嫌疑なし」などの理由で不起訴となるものは比較的少数にとどまるのに対して、告訴・告発事件では、「嫌疑不十分」、「嫌疑なし」の理由で不起訴となるものの割合が高く」

Q&A 実例 告訴・告発の実際

Q&A 実例 告訴・告発の実際

このように、皆さんの期待からすると、少し残念な運用がされていますので、「刑事告訴をしたい」という相談を受けた際には、一時的な感情によるものではないか、を確認させていただいたうえで確固たる意思を持っている方の代理人になることが多いです。

現実問題として、問題の解決のために刑事告訴に頼らざるを得ないケースはあります。

上記のような運用だといっても、事案の性質や、捜査機関の目からして、刑事裁判に耐えられるだけの証拠が揃っているような場合には、スムーズに進むこともあります。

自分の問題で、実際の捜査がどのように進みそうか、刑事告訴を迷っている方は一度法律相談を受けてみて、他人の目からチェックしてもらうと良いと思います。

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