統計から見る離婚訴訟の結末

家庭の法と裁判 家事

弁護士石井です。

家庭の法と裁判5号に、家庭裁判所事件の概況として、統計情報が載っていましたので紹介しておきます。

家庭の法と裁判

珍しい事件が来ると、司法統計などのデータをチェックして、「この事件は年間●件程度しかないんですよ」と説明したりするのですが、全体をチェックする機会はあまりないので、どんな事件が増えているのか見てみましょう。

 

平成17年から平成26年にかけて増えた事件ですが、やはり高齢化の影響が見られます。

●相続

相続放棄事件。
平成17年から約1.2倍になり、平成26年には約18万2000件に。

相続財産管理人選任 約1.7倍

相続自体が多く発生しているだけでなく、相続人が誰もいない(おひとりさまor全員相続放棄)ケースが増えているかと。

 

●後見

後見開始(取消含む) 約1.6倍
後見等監督 約2.9倍
後見人等に対する報酬の付与 約14.5倍

高齢者が増えたことで、成年後見人が必要な人が増えているます。
さらに、報酬付与が増えているということは、専門職の成年後見人が増えているということが分かります。

家庭裁判所も、親族による使い込みが増えたので専門職後見人を付けたり、後見監督人を付けたりしてきました。

それでも不祥事がなくならないことから、信託に移行している現状からすると、報酬付与事件は将来的に減るかもしれませんね。

 

●子の関係

調停 子の監護に関する処分 約1.5倍
審判 子の監護に関する処分 約2.2倍

少子化のはずなのに、争いが増えているということは、争う夫婦が増えているということでしょうか。イクメン化の闇の面かもしれませんね。

 

●外国人

渉外事件(審判・調停) 約1.3倍

 

●人事訴訟の結論

人事訴訟では、離婚事件が約87%、離縁も約3%あるので、離婚がらみが約9割といっても良いでしょう。

そのうち、
判決で終わっているのが約45%、
和解で終わっている事件が約40%。

和解率は約4割
これは、過去10年でさほど変わっていません。

判決のうち、棄却されるものが4~5%あります。
訴えの取り下げが10%前後です。

訴えの取り下げについては、訴外で話がついたことで取り下げになっているケースもあると思われますので、訴訟を起こしたものの、何の結果にもならなかったものが1割ちょっとあるのかもしれません。

 

個人的には、和解率がちょっと低いのではないかと感じます。

 
厚木の弁護士事務所 相模川法律事務所

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