遺留分減殺請求と債務

相続

弁護士石井です。

遺留分の相談の中で、

債務がどのように扱われるのか質問されるケースがあります。

今回は
『事例にみる特別受益・寄与分・遺留分主張のポイント』(新日本法規)で取り上げられている事例を紹介します。

事例にみる 特別受益・寄与分・遺留分主張のポイント
事例にみる 特別受益・寄与分・遺留分主張のポイント 近藤 ルミ子 小島 妙子

新日本法規出版 2016-02-24
売り上げランキング : 50644

Amazonで詳しく見る by G-Tools

 

被相続人甲の相続人は、子A、Bの2名。
甲の遺産は不動産が4億3200万円
長期借入金として負債が4億2400万円
甲は、財産全部をAに相続させるという遺言をした。

このような前提で、遺言では何ももらえないBは遺留分請求ができますが、遺留分侵害額はいくらとなるのか問題になります。
長期借入金の4億2400万円がどのように扱われるのかがポイントです。

債務については、相続人に分割されるのが原則ですが、今回のように、遺言で、遺産全部を1人の相続人に相続させる旨が示された場合には、特段の事情がない限り、相続分の全部がその相続人に指定され、少なくとも相続人間では相続債務もすべてその相続人が承継するものとされたと解釈されます(最判平成21年3月24日)。

債権者に対しては、そのような相続人間での負担割合の主張は通りませんが、相続人の間では主張ができることになります。

このような債務について、遺留分侵害額を決めるときには、どのように扱われるかというと、遺留分の侵害額を決めるのは、相続人間の問題です。

今回のようなケースで、相続人間では、最終的に債務の負担はないため、自身の負担債務はないものとして、遺留分侵害額を決めることになります。

相続財産額4億3200万円から負債総額4億2400万円を差し引き、全体の遺留分率1/2、Bの法定相続分率1/2により、200万円が遺留分侵害額とされます。
厚木の弁護士事務所 相模川法律事務所

t02200131_0222013212770131653

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました