弁護士石井です。
不貞を含む男女問題のような感情的になるトラブルで、依頼者から、
「相手の職場に連絡してほしい、連絡したい」という希望が出されることがあります。
しかし、代理人の弁護士としては職場への連絡は慎重にならざるをえません。
また、オススメできる手段でもありません。
例えば、不貞のようなプライベートな記載をしたハガキを職場に送る行為は、職場にそのプライベートな内容を公表するに等しい行為で、違法になる可能性があります。
したがって、職場への連絡は、他の方法で連絡が取れないような場合にやむを得ず行うような方法と位置づけています。その場合も、なるべく配慮が必要です。
最近の弁護士会の懲戒事例。
大手の法人事務所の担当弁護士が、不貞行為の慰謝料請求について依頼を受け、証拠が本人の言い分のみであるというケース。
相手の住所を知りながら受任通知を送らず、
携帯電話に多数回の連絡をして、
さらに勤務先に電話をしたり、
500万円の慰謝料を請求する際に交渉材料として、相手の人事等に関する機関への通告を検討していることを伝える
などしたことで、懲戒を受けたと報告されています。
交渉というと、相手に電話連絡、勤務先にも連絡、などというイメージをもつ人がいるかもしれませんが、このような事例からも、そんなリスクは取れないことがわかります。
金銭請求が難しい場合には、せめて相手に制裁を与えたいという気持ちは分かるのですが、相手の勤務先の人事に影響を及ぼそうとする行為は相当ではないと認められ、違法になることもあるのです。
下手をすると、本命の金銭請求の方で揚げ足をとられることもありますので、ご注意を。
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