屋根外壁工事とクーリングオフ

消費者法ニュース 会社の相談

弁護士石井です。

屋根外壁工事とクーリングオフについての裁判例の紹介です。

大阪地裁平成30年9月27日判決です。

 

消費者法ニュース
訪問販売で工事の請負契約。
8日以上経過した後に、クーリングオフを認めたケースです。

工事の塗料等に問題があり、弁護士が入って交渉したものの、話がまとまらず、訴訟になっています。

クーリングオフについては、特定商取引法により「書面」を交付してから8日間は可能とされています。
今回も、それなりの書面が交付されていますが、消費者側は、法定の要件を満たす「書面」が交付されていないので、
8日間の期間はそもそもスタートしていないと主張しています。

この主張は、8日経過後に、消費者がよくする主張です。

 

裁判所の判断

裁判所は、消費者側の主張を認め、書面が交付されていないからクーリングオフはできると判断しました。
法定書面の記載事項として
権利又は役務の種類
があり、種類には、
当該権利又は役務が特定できる事項をいい、その内容が複雑な権利又は役務については、その属性に鑑み、記載可能なものをできるだけ詳細に記載する必要があると解されるとしています。

工事内容として、そこそこ細かく記載されていたのですが、裁判所は
塗装工事や付随する工事の具体的な内容や範囲について、必ずしも明確でないと認定。
外廻りペンキ塗装工事は、自宅玄関ドア、入り口ドア、・・・窓枠、ベランダ手すり・・・等の塗装工事が含まれるのに、
契約書では、単にペンキ塗装工事 ニッペファイウンウレタン 2工程 一式
としか記載がないとして、明確でないと判断しています。
工事業者側は見積書等で補完されていると主張しましたが、
法定書面は一体性がなければダメだし、同時に交付されないとダメだと認定しています。

記載事項については、かなり厳しく認定しています。

ペンキの問題があるから、クーリングオフで実質的に消費者を救済したようにも読めます。

 

訪問販売をしている建築会社はご注意

消費者相手に訪問販売等でリフォーム等をしている工事業者側としては、かなりしっかりした書面を交付しておかないと、このようにクーリングオフ主張を受け、工事が無駄になることもあります。

顧問弁護士などと、防御力の高い書類の作成、運用をするようにした方が良いですよ。

 

 
厚木の弁護士事務所 相模川法律事務所

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