どういう訳か、私は国選弁護事件で被疑者・被告人が外国人の事件に当たることが多いような気がします。
外国人事件(特に刑事)の特殊性をあげるとすれば、滞在資格の有無や退去強制の見通しなど入管の知識が必要なことです。
また、国内に協力者がいるかどうかも大きな問題です。もっとも、これまで国内に全く協力者がいない被疑者・被告人はいませんでしたが。
そして、何といっても大きいのが、言葉の問題です。日常会話はできる方でも、法律の手続きなど専門的な用語が出てくる会話をするには、通訳が必須です。
これまで何人もの通訳の方にお世話になってきましたが、いくつか気づいたことがあります。
一つは、私がこれまでお世話になった通訳はすべて女性だということです。
また、日本で生まれ育った方よりも、帰化して日本人になった方の方が圧倒的に多いです。英語以外の言語だと、この傾向が顕著です。
日本人と結婚した外国人女性が、能力を生かして通訳をされているケースが多いのかもしれません。
弁護士=ユーザーとしての視点から、評価の高い通訳の条件は、次の点です。
①日本語がうまい(外国語の巧拙は判断できない)
②話したことを全部訳してくれる
③時間の融通がきく
②について補足しますと、ときどき、被疑者・被告人が数分かけてしゃべっても、通訳が日本語にするとなぜか一言にしかならないことがあります。また、通訳と被疑者・被告人が話込んでしまうこともあります。
弁護人としては、重要な情報が抜け落ちたのではないかと不安です。おそらく、通訳の判断で重要ではない点を落としているのかもしれません。けれども、その情報が重要かどうかは弁護士の側で判断したいものです。
現在、司法通訳には国家資格がありません。ユーザーの視点が反映されるように制度設計された、司法通訳資格が創設されることを期待しています。
弁護士 田中
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