弁護士石井です。
横浜弁護士会で行われた未成年後見の研修に出席してきました。
未成年後見とは、未成年者で親権者がおらず財産管理などができない
場合に選ばれるものです。
成年後見人の多くは、高齢者で判断能力が低下した場合に選ばれるので、
同じ後見人といっても仕事の印象は大きく違います。
司法統計によると、平成23年度では、未成年後見の申立件数は2632件。
これに対して、成年後見人の選任申立は、2551件。
未成年後見の方が多いのです。
未成年後見事件で弁護士が後見人になるケースは、一定の財産があるなどの例外的な場合なので、この数字は意外です。
研修内で、弁護士が未成年後見人に選ばれるケースとして
・一定の財産があるが適切な管理を期待できる親族がいない
・親族間の対立が激しい
・身寄りがない
・親族後見人が財産を使い込んだ
という例が紹介されていました。
使い込みケースは近年増えているそうです。
成年後見だけでなく未成年後見でも被害が増えてしまっているのですね。
使い込みに関して、平成24年2月から始まった後見制度支援信託についての説明がありました。
親族による使い込みを防止するための制度です。
信託銀行と協議して作った仕組み。
通常使用しない金銭を信託銀行等に信託し、簡単に利用できないようにする制度です。
本人の財産を、「通常使用しないもの」と「日常的に使うもの」に分けて管理するのですね。
ただ、未成年後見の場合、急な教育費がかかるなど、信託せずに使える財産額をいくらにするのか、適正な設定が難しいため、神奈川県ではまだ運用は始まっていないそうです。
未成年後見の分野には、新たな制度が導入される動きになってきています。
この制度以外に、未成年後見業務賠償責任保険なるものが近々始まるそうです。
未成年後見人になると、監督者として、賠償責任を負うリスクがあります。
未成年者がケンカして誰かにケガさせたり、無免許運転で人をひいたり、放火したりすると後見人が責任を問われるリスクがあるのです。
弁護士業務にとって致命的な金額になる危険もありますが、それに見合った報酬が得られるかというと・・・
そういう意味で、賠償責任保険があれば、多少は安心できますね。
保険料はまだ未定だそうです。
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