弁護士石井です。
日弁連でおこなわれた倫理研修に参加してきました。
弁護士は定期的に倫理研修を受ける義務があります。
この研修は、秋に横浜でも開かれるのですが、夏の時期の方がスケジュールの余裕がまだあるので、東京まで行って参加してきました。
弁護士には、色々と守らなければならない倫理に関する規定があります。
有名なのが守秘義務。
弁護士は依頼者の秘密を守らないといけません。
外部に漏らすことはありませんので、安心してお話くださいね。
また利益相反の問題もあります。
弁護士は、紛争の両方の当事者から事件を受けることはできません。
原告と被告の両方の当事者から事件を受けることができないというのはわかりやすいケースですが、よくあるのは、当初は仲間だと思っていたグループが後から対立することがあります。
たとえば、相続事件。
複数人の相続人の依頼を受けていたら、途中から対立し始めた。
ほかにも、債務者と保証人から依頼を受けたら、途中から対立。
刑事事件の共犯者を複数人弁護していたら、途中から責任のなすりつけ合い。
講師の方は、利益相反については大変厳しくなっていると説明し、上記のようなケースになったら、全員の依頼を辞任するべきと話していました。
利益相反の問題では、共同事務所での問題もあります。
同じ弁護士だけの問題ではなく、たとえば、相模川法律事務所内で、原告は石井弁護士、被告は田中弁護士が受ける、というのも許されないのです。
こういった事態を避けるために、うちの事務所では、外部で相談を受けた場合でも、相談者の氏名をリスト化して、相談の申し込みがあった際に、この利益相反上の問題がないかをチェックさせてもらっています。
電話で相談申し込みを受ける際に、スタッフから「相手方の氏名を教えてください」と言うと、「えっ?今?」と驚かれる人もいるのですが、こういう理由なのです。
最後に、証人汚染の問題。
当事者を含めて、証人予定者と打ち合わせをしたところ、すごい曖昧な答えをする。
そういう予定者に対して、答え方を指導させることは許されるか?
弁護士が、最初から回答を含めた質問事項書を渡すことは許されるか?
という議論がされました。
地域によっては、3~5割の弁護士が、回答を含めた尋問事項書を渡すそう。
この数字には驚きました。
私も打ち合わせが終わった後に内容を書面にして渡すことはありますが、これをやると、当日の尋問期日で、いかにも覚えてます、という話し方をしちゃう人が結構います。
そのため、私は基本的に尋問事項書自体を渡さないスタンスをとっています。
しかし、もし5割の弁護士が尋問前に書面を渡しているとなると、これを渡さないことで手抜きしていると誤解されてしまうかもしれませんね。
しっかり説明して結果を出すしかないですね。
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