弁護士石井です。
先日、横浜地方裁判所相模原支部で、自己破産の裁判官個別面接を受けてきました。
うちの事務所でよく申立をしている小田原や横浜では、個別面接がなくなっていますので、
依頼者と一緒に面接を受ける機会は減ってきています。
現在、相模原支部の運用は、破産の面接のみ個別で実施。免責手続での面接はありません。
破産の面接では、借金をするに至った経緯や財産状況を聞かれることが多いです。
免責の面接も兼ねている場合には、ギャンブル・浪費などの不許可事由についても確認されます。
今回の裁判官は、印象的な方で、破産者に対して、夢を与えたいようでした。
まあ、これは大事なことです。
自己破産をする方の中には、破産というマイナスイメージにより自尊心を傷つけられ、その後の人生に自信を持てなくなってしまう人がいます。
もったいないことです。
裁判官は、「人生は、やっぱり夢がないとね。男は70歳ちょっと、奥さんは80歳ちょっとまで生きるんだから、夢を持たなきゃ」と熱く語ってきます。
さらに、「まだ人生は、40年以上あるんだから、またね、住宅ローンを組んで、家を持とうよ」とも語ってきました。
平均余命の捉え方も微妙なのですが、
自己破産の原因が住宅ローンであり、現在、生活保護を受けている依頼者に対しても、再度、住宅ローンを組んで家を持つ、という夢を語るのには驚きました。
そもそも借金をして家を持つ、という政府とメディアによって作られた価値観自体がこれからの時代でも続くのかあやしいところです。
きっと、弁護士が付いている事件については、「後から弁護士がフォローする」ことを前提に、ヒートアップして語ってくれているのでしょう。
自己破産に関しての裁判官面接を実施するか、廃止するかの議論の中には、破産手続自体のインパクトが弱まるから面接を実施すべきだという意見がありました。
インパクトなく破産が終了してしまうと、再度、同じ間違いを繰り返しかねない。
ある程度のインパクトを持たせることで、破産とは大変なことなのだという印象を破産者に与える必要がある、という視点です。
まあ、今回の面接もインパクト自体はあったようです。
ちなみに、裁判官から、私に対して
「先生、世間ではアベノミクスなんて言われていますけど、どうなんですかね」
と質問がありました。
それ、私に聞いちゃう?
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