弁護士石井です。
土地を誰かに貸す際、意識しなければならない法律があります。
借地借家法です。
借り手側を保護するための法律です。
最初から、その土地上に建物を建てて、何十年も貸す、という場合はまだ良いのですが、
貸す際に予想もしていないほど借り手が保護されることがあります。
借地借家法は、その土地で「建物を所有する場合」に適用される法律です。
この法律が適用されると、契約期間がおわったあとでも簡単に土地が戻ってきません。
自分の土地なのに戻ってこない。
貸す際には、想定していなかったほど権利が制約されてしまうことがあります。
たとえば、駐車場として土地を貸したつもりが、その土地に建物を建てられてしまい、借り手が
「え?建物をたてるって話でしたよね?」
などと言い出すケース。
言った、言わないの争いになり、建物が実際に建っていることから、借り手側の言い分が通ってしまい、土地が返ってこないリスクがあります。
このような想定外の主張をされてしまうと、「土地を一定期間だけ貸して、その後はしっかり返してもらいたい」という社会のニーズが満たされません。
そうすると、何も使われていない無駄な土地が増える社会になってしまいます。
もったいない。
そこで、土地を貸す際には、借地借家法を意識しておきましょう。
建物を建ててはいけないのであれば、そのようなルールを決めて証拠化しておくことが必要です。
1 契約書を作る。
口頭での契約は、あとでなんと言われるか分かりません。
かならず契約書をつくり、借り手の署名押印をもらうこと。
2 契約の目的を特定しておく
契約書には、その土地を貸す目的を書いておきます。
「駐車場として使用する」というように、特定しておきましょう。
建物の建築を禁止する条項を入れておくのも有効です。
3 ルール違反を放置しない
契約に建物禁止と書いているのに、違反して建て始めた場合。
気づいたら直ちに異議を述べましょう。
知りながら放置した場合、「追認」といって、「契約違反だけど、まあいいか」と承諾したと見なされるリスクが出てきます。
これらの点は、トラブルになるまで意識しにくい、意識しても面倒くさい、と思うかもしれません。
が、
土地が戻ってこない
って、ものすごい大きなリスクですよね。
ときに財産上の致命傷を負うことになりかねません。
致命的なリスクを避けるためにも、最初の段階でやるべきことをやっておきましょう。
契約に関してはこちらの本でも触れていますので、読んでみてください。
↓
プロ弁護士の「心理戦」で人を動かす35の方法
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