法テラスで自己破産と一般事件の両方を進める場合の注意点。

弁護士石井です。

法テラスから注意喚起がされていますので紹介。

2021年12月から法テラスの規則が改正されているそうです。

法テラスからの注意喚起の内容

内容としては、
自己破産(個人再生も)申立事件の援助申込みをした申込者が、破産手続開始決定(民事再生手続開始決定も)前に、他の一般事件の援助申込をした場合、一般事件の援助が不開始になる場合があるとのことです。

一般事件の方の法テラス立替金が、破産債権になってしまうからです。

法テラスは、弁護士費用の立替制度に過ぎません。
利用者は、法テラスに対し、長期間の分割払いをします。これは債務になります。
自己破産事件の法テラス費用支払いと、一般事件の費用支払いは区別できます。

そうすると、一般事件の法テラス費用も、理論的には自己破産手続では債務と扱われれてしまいます。
免責許可が出れば払わなくてよくなりそう。

そのような見込みがある場合には、援助はよろしくないということでしょう。

法テラス利用に注意が必要なパターン

・自己破産申立事件と、他の一般事件の援助申込を同時に行う場合
・自己破産申立で援助を受けている被援助者が、破産手続開始決定前に他
の一般事件の援助申込を行う場合(手続開始決定後であれば問題ありません)
・一般事件の援助申込をし、その援助開始決定前に自己破産申立事件の援助申込をする場合

破産手続開始決定が出た後に、一般事件の申込みであれば、破産の影響は受けないので、通常通りの審査となりそうです。
この順番が逆になるのが問題なわけですね。

法テラスによる例外パターン

法テラス側のアナウンスとしては、これらに該当する場合でも、援助開始決定がされるケースもあるとのこと。

具体例として
・保佐・補助の決定を受けなければ自己破産申立ができない場合における、保佐人等選任申立事件

・直ちに援助を開始しなければ、申込者またはその監護下にある未成年子の生命または身体に危険が及ぶ恐れがあると認められる場合に、その危険を排除するために援助の必要がある事件(DV等を想定)

・自己破産申立事件における破産手続開始決定を待っていたのでは自己の権利の実現が不可能または著しく困難となる場合において、その権利の実現のために援助の必要がある場合


・その他本部において、これらに準ずるものとして援助開始決定をすることが相当であると認めた事件

自己破産と離婚事件とか

自己破産申立事件と、他の一般事件の援助申込を同時に行う場合として、自己破産と離婚というパターンもあります。

離婚で慰謝料、財産分与などの回収ができそうな事案では、それが破産手続きの方で財産になるか検討することになりますが、無資力の夫と離婚したい、という事件で、借金している場合では、同時に申し込むのはよろしくなさそう。

理論的に問題なさそうなのは、自己破産を先行させて、破産手続開始決定後に離婚の援助申し込みをする流れでしょうか。それまで我慢する。我慢できなければ、例外規定を使う感じですかね。

「一般事件の援助申込をし、その援助開始決定前に自己破産申立事件の援助申込をする場合」とあるので、離婚の申込み、援助開始決定が出てから、自己破産の申込みをすることだと、理論的に援助不開始にはならなさそうですが、これだと免責問題は残るのではないかと、中途半端感が残ります。

同じように自己破産準備中に、交通事故とか相続とか、訴えられたとかの場合にも問題になりそうですね。

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