弁護士石井です。
財産の差し押さえができるのは、本来、「もう払わなければいけない」債権です。
つまり支払期限が来ている権利です。
ただ、例外的に、養育費等の月々発生する扶養に関する債権については、一部が遅れた場合には、将来分も差し押さえができます。
これを認めないと、少額の養育費について、数ヵ月ごとの差し押さえをしなければならなくなって大変だからです。
よくあるのは、養育費の未払が発生したので、将来の分も合わせて差し押さえをし、今後の給料から定期的に支払ってもらうようなケースです。
このような特殊な差し押さえができる権利は、
・婚姻費用
・養育費
・扶養義務
等に限られます。
離婚に関する権利でも、財産分与の分割払い、慰謝料の分割払いでは、できません。
将来の支払が不安な場合(たいていはそうでしょう)は、調停調書や公正証書を作成する際に、分割払いで支払っていくのが、何なのか、明記しておかないといけません。
養育費なら養育費としっかり記載してもらうのです。
「解決金」とか「和解金」としか書かれていないと、将来の分も差し押さえをしようとしても、
「これ、養育費なの?」
と裁判所から指摘されてしまいます。
この点について、差し押さえの申立て時に、他の資料を証拠として出して、養育費だと証明しても、将来の分の差し押さえはできないとされています。
しっかりと調停調書や公正証書に書いてもらわないといけないのです。
また、このように養育費等の債権については、給料の差し押さえ時に差し押さえ可能な金額が変わります。
通常の債権ですと、たいていは給料の4分の1しか差し押さえができません。
しかし、養育費等ですと、2分の1に広がります。
養育費等は、それだけ重要な権利だと法律は考えているわけです。
この点からも、調停調書や公正証書作成時には、しっかりと明記してもらってください。
専門家に頼まずに進めている人は、最後くらいは相談した方が良いかもしれませんね。
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