弁護士石井です。
『家賃滞納という貧困』という本を読みました。
家主側の代理人として、明渡訴訟などの手続に関与している司法書士が書いた本です。
家賃滞納のケースがこれでもかと紹介されています。
ネット上の記事では反響も多く、他人事ではないというコメントがついているそうです。
家賃滞納の法的手続き
家賃を滞納してしまうと、最終的には賃貸借契約を解除される形になります。
1~2ヶ月遅れたからといって賃貸借契約はいきなり解除できるわけではありません。
貸主と借主の信頼関係が壊れるくらいの滞納が必要で、本の中では3ヶ月ぐらい滞納が続くと解除リスクが高まると記載されています。
賃貸借契約の解除が認められる場合、裁判では、明け渡しを命じる判決や和解調書が作られます。
これで、家主側は、強制執行手続ができます。
強制執行手続では、いきなり追い出すのではなく、催告といって予告・警告を1回行います。
家主側としては、できればここまでの段階で出て行ってくれないかなぁと考えるでしょう。
催告にも応じないとすると強制的な手続きで明渡となります。
家賃滞納はなぜ起きるのか
この家賃滞納はなぜ起きるのかというと収入と支出のバランスが崩れてしまっているからでしょう。
家計の黄金律で言われる比率としては、収入の25%位が良いのではないかとされます。
手取り20万円なら5万円までに抑えるわけですね。
勝間和代さんも、収入の20から25%くらいにすべきと最近の本で言っています。
家賃は、かつては月収の3分の1位がいいんじゃないかみたいな話をされていたらしいのですが、この割合では危ないぞと家計のコンサルタント等が言っているのですね。
この割合をこえると滞納が起きやすくなるようです。
・もともと割合が高い
・収支バランスが崩れた
ということで家賃を滞納してしまうのです。
なお、保証人に関して、家賃保証会社をつけていると、この割合を超えるような高い家賃の物件を借りやすくなってしまうようです。
保証人なら「もっと安いところにしておけ」と言ってくれるけど、保証会社は止めてくれないから。
本の中では、収入が減ってしまうことで家賃を滞納してしまうケースが多く紹介されてます。
例えば、広告代理店に勤めていて安定収入を得ていたけども起業しようと思って退職した後、全然うまくいかずに奥さんも言い出せなくて家賃滞納。
ブラック企業に勤めていて転職をして収入が減って滞納。
離婚してシングルマザーになったけども養育費が払われないので滞納。
高齢の夫婦で配偶者が死亡によって年金が減ったから滞納。
収入以外に支出が増えた話として、一級建築士の仕事をしていたけど酒にはまってしまって、支出が増えて滞納。
このようなケースで、比較的救われている話としては、
家族が助けてくれる、実家に戻れる、生活保護申請あたりとなっています。
逆に、家族が保証人になっていて、家族から「あいつを追い出してくれ」と言われてしまうようなケースも。
家族の態度にもよりますが、できれば、いざというときに頼れる家族を持っておいた方が無難かと思います。
最近は、借金相談の際に滞納家賃が含まれていることも目立ってきています。
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