弁護士石井です。
『定年破産絶対回避マニュアル』という本を読みました。
定年破産の相談、依頼もあります。
回避する方法があれば参考になるかと思い、チェックしました。
ただ、この本に書かれている内容は、定年の人向け、50代向けというより、若い人向けの内容でした。
若い頃から、老後不安を抱えている人が読むと良い本のようです。
定年直前だと、回避するために有効な情報は多くないような印象です。
なぜなら、定年破産回避の一番の方法で長期投資を紹介しているから。
定年破産を回避するために必要なもの
定年破産を回避するために必要なものは2つ。
一定の経済力
制度をよく知ること
だそうです。
一定の経済力は長期投資により身につける。
「制度を知ること」に関しては年金制度とか介護保険の制度をしっかり押さえておこうという話です。
基本的に年金制度は破綻しないでしょう。しかし、2~3割の減額はされそう。そこを投資でフォロー。
介護保険については、介護用品を買う前に知識をしっかり押さえておこうとのことです。
高いものを買ってから、介護保険が使えた、なんてこともあるので。
投資については、基本的に長期投資なので、やってはいけないのが定年前後で一気に投資すること。
間違っても退職金で一気に投資信託とか買っちゃだめです。仮想通貨はもっとだめです。FXは投資じゃないです。
この本では、長期投資のシミュレーションを出してくれていて、一つの数字としては参考になるでしょう。
老後資金のシミュレーション
確率論でいうと過去50年間には大暴落することもありましたが、年6%くらいで回せるそうです。これは高い印象。
年間100万円を30年間投資した場合のシミュレーションが紹介されています。
貯金だと3000万円になる。金額が大きいですが、分かりやすくこの数字にしたものかと思われます。
これを年6%で回すものの、一定の確率で暴落が起きる変数を取り込んでシミュレーションしたそうです。
モンテカルロ法と呼ぶらしい。
この本の中で紹介されている数字として、長期投資をすると、3分の1の確率で3000万円を下回ることになります。
貯金の方がマシだったという結論。
3分の1の確率で8300万円以上になる。3倍近い数字になるという結論。
残りはその中間。
3分の2は増えるのだから、確率論からすれば、投資した方が良い、それを経済力としよう、という話です。
3分の1の確率で貯金を下回るので、元本割れ、ダメ、ゼッタイ、という人は投資はやめましょうという話です。
また、この投資の前提としては、長期投資と外国株を含むことが指摘されています。国内は縮小していく可能性が高いので。
ほかも投資視点
自宅不動産に関しても投資物件として考えるべきだという話です。
売るときに利益が出るならマイホームとして買えばいいし、そうでないならば賃貸でいいんじゃないかという話。
保険に関してもリスクヘッジという視点で考える。リスクヘッジ効果としては、保険より共働きの方が良いのではという話。
実家もマネジメント?
介護に関して、介護保険について知っておくことはもちろん、そもそも親が介護状態にならないために、実家をマネジメントしようという話がされています。
介護離職はとにかく避ける。
実家に物があふれたりしていると親が転倒→介護の危険があるので、物を減らそうと。
バリアフリーにしよう。
また利便性の高いマンションに転居させましょう。病気になっても通院が楽だから。
などと、色んなものを金融的な、リスク的な目で見ているのが面白い一冊です。
実家のマネジメントについては、振り込め詐欺対策も取り入れた方が良さそうですね。
破産回避のマニュアルとしては、長期投資や住宅購入などの話がほとんどで老後不安を抱えた若い人向けの話ですが、介護等については、定年間近の人も役立つ視点かもしれません。
ぜひチェックしてみてください。
講談社
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