弁護士石井です。
2025年も終わりましたので、読んで良かった本を紹介します。
しっかり読んだのは90冊でした。100冊切ったのは読書メモをつけ始めてからは初めてかも。
一応、ざっと読んだ本とかメモを残さない小説系、仕事系はそれなりにあります。ただ、読書量は減ったよなぁという感じ。
2025年は読書代わりにAI利用が多かったのですが、年末年始には、AIファーストでの読書を試していました。これはいい感じでしたので、過去の名著を使い倒すのに役立ちそう。
NotebookLM読書術ですね。いや、もはや読書とは呼べないジャンルになっていそうな気がします。
『糖質リスク』 石黒成治
血糖値コントロールの重要性を説いた本ですが、具体的な数値目標やメカニズムの解説が非常にクリアでした。
血糖値の目標値:研究データによると、最も良いカットオフ値は88mg/dLであり、これ以下を目指すべきとされています。食後2時間の血糖値が140mg/dLを超えている場合は要注意です。
夜間の低血糖:夜中にトイレに起きるのは、尿路系のトラブルではなく、実は夜間の低血糖で目が覚めている可能性があります。寝る前の血糖値を安定させることが重要です。
血糖値対策として、糖質を最後に食べる、食前に酢、朝一番や食前・食後に短時間の高強度インターバルトレーニング。
血糖値対策の総まとめとなった一冊でした。
『確率思考の戦略論』 森岡毅
USJを再建した森岡氏による、数学的・確率的なマーケティング論です。「売れる」という現象を確率で捉える視点は、弁護士業務や経営にも通じるものがあります。
消費者の脳の選び方:脳は「カテゴリーの選択」→「ブランドの選択」→「プロダクトの選択」の順序で選んでいます。そして、その選択はサイコロを振るような「ランダム」なものであり、その確率(プレファレンス)を高めることが勝負。
戦略の焦点:リソースを割くべきは「プレファレンス(好意度)」「認知」「配荷」の3つだけ。特にプレファレンスは天井が高いため、最も重要です。
感情や感覚に頼りがちなマーケティングを、冷徹なまでの「確率」と「数学」で解明してくれます。
森岡さんも2025年はかつてないバッシングがあったかと思いますが、本の内容は良かったです。沖縄も一応行ってみたい。
『暇と退屈の倫理学』 國分功一郎
AIのおかげで色々と時間ができてきました。そんなタイミングで刺さったのがこの一冊。
「好きなこと」すら文化産業に与えられている現代において、真の「暇」との向き合い方を問う名著です。
消費と浪費の違い:「浪費」は物を受け取る行為であり、限界(満足)があります。しかし、「消費」は観念(記号)を対象とするため終わりがなく、いつまでも満足できません。
退屈の正体:人間は定住することで、高度な能力を持て余すようになり、退屈が生まれました。私たちは「不幸な状態から気を紛らせてくれる騒ぎ」として、気晴らし(ウサギ狩りのウサギ)を求めています。
結論:消費社会の終わりなきゲームから抜け出し、「人間であることを楽しむ」「動物になる(瞬間の生を生きる)」ことの重要性が説かれています。
すごいこと考えていくなぁという本でした。

『物語化批判の哲学』 難波優輝
普通ならスルーしそうなタイトルですが、ビジネスブックマラソンで勧められていて買った本。
私たちは人生を「物語」や「ゲーム」として捉えがちですが、それに対する警鐘を鳴らす本です。
物語の引力:私たちは強い物語に支配され、他人や自分をわかりやすいキャラクターやストーリーに閉じ込めがちです。
ゲーム的理解の限界:人生を「攻略」対象と見なすと、ルールに適応することばかり考え、「ルールの改変」や「ゲームそのものを作り変える」発想が失われます。
「おもちゃ」の遊び方:物語(過去・未来)やゲーム(目的達成)とは異なり、「おもちゃ」には脱目的性があります。ただ成り行きに従って遊ぶ、その朗らかな雰囲気にこそ、人生を物語に呑み込まれないヒントがあります。
『シン読解力』 新井紀子
弁護士という仕事柄、言葉の定義や読解力には敏感ですが、この本は日本の教育の現状に鋭く切り込んでおり、衝撃を受けました。
読書量と読解力は無関係:多読すれば読解力が上がるわけではありません。教科書のような「学習言語」を正確に読む力は、別個のトレーニングが必要です。
係り受けの理解:「主語と述語」「修飾語と被修飾語」の構造を正確に把握する力が不足しています。
語彙量の格差:家庭環境による語彙量の差が、学習の理解度に直結します。
対策:意味を考えながらの「音読」、そして正確な「視写(書き写し)」が有効です。
安易なタブレット学習よりも、紙の教科書とノートでしっかりと「型」を身につけることの重要性がデータと共に示されています。
小学校低学年あたりの子を持つ人、教育関係者は読むべき一冊。
『フラット登山』 佐々木俊尚
登山が趣味というわけでもないのですが、自然と触れ合う機会は持ちたいと思っていました。
これならできそうと感じた本。
「登山=山頂を目指す」という固定観念を捨て、楽しさを再定義する本です。
山頂を目指さなくていい:「軟骨は消耗品」です。膝への負担を減らし、長く楽しむために、ピークハント(山頂到達)にこだわらないスタイルを提案しています。
テクノロジー活用:Googleマップのオフライン機能や、登山地図アプリを活用し、安全に楽しむ知恵が満載です。
2025年後半は、クマ騒動があり、実践には至らなかったのだけど、今年は歩いてみたい気持ちがあります。
まとめ
今年の高評価本を振り返ると、共通しているのは「既存の常識や感覚(直感)を、データや論理、哲学で再定義する」という点でした。
感覚的な「健康」ではなく、血糖値データに基づく管理。
感覚的な「売れそう」ではなく、確率計算に基づく戦略。
社会から与えられた「消費」ではなく、自らの「享受」。
なんとなくの「読書」ではなく、構造的な「読解」。
2026年は再定義がさらに進みそうですね。


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