用心棒弁護士と弁護士広告規制

用心棒弁護士 雑談

弁護士石井です。

NHKでも、詐欺被害回復をうたった問題弁護士が取り上げられる時代となりました。そのような弁護士は、大きく広告で集客していたこともあり、広告も規制方向に動いています。まあ、広告会社と名乗る会社が弁護士名義を利用して悪事を働いておりますので、規制しないといかんというわけですかね。

業務広告に関する指針も改正されたそう(令和7年2月20日施行)で、改めてチェックしました。

https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/jfba_info/rules/kisoku/kisoku_no_45_ADshishin.pdf

ちなみに、ジン法律事務所弁護士法人では、現在、費用をかけた広告はほとんど行っておらず、弁護士ドットコム等のサービスにも課金していません。広告費をかけてまで集客するモチベーションもなく、という感じです。まあ、でも急にテストステロン値が上がって、拡大したくなるかもしれませんし、そもそも広告費用をかけない情報発信も広告の定義に入りそうですので、チェックしておかないといけませんね。

こういうPDF分析は、NotebookLMさまが相変わらずトップを走っています。

禁止される広告内容の種類

弁護士の業務広告では、少なくとも以下の内容が禁止されています。

  1. 事実に合致しない広告(規程第3条第1号)
  2. 誤導又は誤認のおそれのある広告(規程第3条第2号)
  3. 誇大又は過度な期待を抱かせる広告(規程第3条第3号)
  4. 困惑させ、又は過度な不安をあおる広告(規程第3条第4号)
  5. 特定の弁護士等又はこれらの事務所と比較した広告(規程第3条第5号)
  6. 法令又は会則・会規に違反する広告(規程第3条第6号)
  7. 弁護士等の品位又は信用を損なうおそれのある広告(規程第3条第7号)

相変わらず、個人的には品位が怖いです。品位の例として、「法の抜け道、抜け穴教えます」「用心棒弁護士」が挙げられています。「全てお任せいただければ、まるっと解決いたします」もダメな例に。

用心棒弁護士

用心棒弁護士がダメだとすると、色々とダメな例が出そうな気がします。

用心棒弁護士ってなんだ?と思って検索すると、AIオーバービューでは以下の表示が。

「用心棒弁護士」とは、企業や個人が継続的に法的アドバイスやサポートを受けるために契約する「顧問弁護士」を指す俗称です。文字通り、法律的なトラブルから身を守る「用心棒」のような存在として捉えられています。具体的には、契約書の作成・チェック、法的トラブルの相談、交渉、訴訟対応など、幅広い業務を依頼できます。

顧問弁護士の俗称って。これはハルシネーションってやつですかね。

ただ、検索結果からすると、このような表現を使っている事務所さんもいるようですね。

用心棒がダメだとすると、最終兵器弁護士とかもダメでしょうしね。日本語は難しいですね。

なお、キャッチフレーズとして、「闘う弁護士」は、事実に反しない限り許されるものとすると書かれています。事実に反しない限り、ということは、闘っている事実があれば大丈夫ということですね。

闘う相手は何でも良いのでしょうか。

このロジックなら、走る弁護士というキャッチフレーズも、走っている事実がある限り大丈夫そうです。

ChatGptで用心棒弁護士を画像作成してもらいました。品位ありそう。それどころか、めっちゃモテそうじゃないか。

でも、面白くないので、再作成したら、こんな感じ。

武器を持っているので、一気に用心棒っぽくなりました!

しかし、左手には食べかけのカレーパン。これがChatGptのボケのようです。

こいつは、弁護士の品位を損ないそうですね。法廷でカレーパンですからね。

走る弁護士も画像にしてもらいましたが、用心棒のほうがかっこいいな。カバン落としかけてるし。

事実に合致しない広告の具体例

事実に合致しない広告として、以下の指摘がされています。

経歴の偽り

  • 実際には経験していない分野での専門性をアピール
  • 存在しない資格や経歴の記載

架空の事例や推薦文

  • 実在しない人物の推薦文の掲載
  • 脚色された解決事例の記載
  • 実際には存在しない「お客様の声」

虚偽の相談実績

  • 実際には回答していない法律相談を実績として記載
  • 弁護士が直接回答していないものを含める

実体のない団体・組織の表示

  • 実体の伴わない団体や組織名をあたかも実在するかのように表示

ブログで、パン食い競走大会に参加していないのに、優勝したとか嘘をつく、「俺、昔、バンドマンだったんだ」みたいな発言も経歴詐称になってしまうかもしれません。人狼検定2級もってます、も存在しない資格となってしまいそうです。

誤導・誤認のおそれがある広告

誤導または誤認のおそれのある広告には、以下のような例があります。

経験の誇張

  • 「過去の損害賠償事件取扱件数○○件 航空機事故はお任せ下さい」
  • 実際の専門分野と異なる印象を与える表示

成功例の不適切な示唆

  • 「交通事故で1億3,000万円を獲得しています。あなたも可能です」
  • 他の事件の成功例をあたかも自分にも当てはまるかのように示唆

報酬に関する曖昧な表現

  • 「割安な報酬で事件を受けます」
  • 手数料等を別途徴収するにもかかわらず「着手金0円」と表示

対応体制の誇張

  • 適切な相談体制がないにもかかわらず24時間対応可能と示唆
  • 債務整理事件において適切な受任体制がないにもかかわらず全国対応可能と示唆

以前によく見かけた「国が認めた借金減額制度」は、誇大または過度な期待を抱かせる例として出されていますが、誤導や誤認のおそれのある広告にもなりそうですね。

勝訴率の表示も問題。

誇大または過度な期待を抱かせる

「借金減額診断」、「借金減額シミュレーター」等と称するページを設け、広告閲覧者に借入金額、借入時期、返済の有無等を入力させながら、どのように入力しても「あなたの借金は、0円又は減額になる可能性があります。」と表示させること。

まあ、可能性で言われたらないわけではない気もしますが、期待を抱かせてしまいますね。

国際ロマンス詐欺、投資詐欺等の被害回復が容易でなく、被害回復ができないか、ごく少額の回収にとどまることが多いことが弁護士業務上の社会通念として明らかである事件に関し、殊更に高額回収ができた事例のみを紹介する等、依頼すれば高額の回収ができるとの期待を抱かせる表現を含むもの

最近の問題にも触れられています。

直接勧誘行為の禁止

弁護士は、面識のない者に対して以下の直接的な勧誘行為を行うことができません

禁止される勧誘行為

  • 訪問による広告
  • 電話による広告
  • 未承諾の電子メールによる広告
  • 特定の事件の当事者・利害関係者に対する郵便等による勧誘広告

これらの行為は、利用者が十分な検討をする機会を奪ったり、相手方に不快感を与えたりするおそれがあり、弁護士の品位と信用を損なうためです。

顧問先にすごい会社いるぜ広告

弁護士には守秘義務があるため、以下の情報は原則として広告に表示できません。

表示が制限される情報

  • 顧問先や依頼者の名称
  • 受任中の事件の詳細

例外的に表示が許される場合

  • 依頼者の書面による同意がある場合
  • 依頼者が特定されず、かつ依頼者の利益を損なうおそれがない場合

すごい会社と顧問契約できても、アピールしちゃダメよ。

弁護士会の監督権限

弁護士会は、規程に違反する広告に対して以下の権限を有しています。

調査権限

  • 所属弁護士の広告が規程に違反する疑いがある場合の事実関係調査
  • 事実に合致していることの証明要求

指導・命令権限

  • 違反行為の中止・排除命令
  • 再発防止のための必要な措置の命令

公表権限

  • 命令等に従わない場合の事実の要旨公表
  • 違反行為の中止・排除が困難な場合の公表

広告への監督が機能すれば、被害者拡大を少しは防げそうですね。

まとめ

弁護士広告に限らず、広告では行き過ぎた表現が使われることが多いです。

AIで未来がどうなるかわかりませんが、当面は、AIで裏付けを確認してもらってから相談・依頼するのが良いんじゃないですかね。みなさま、気をつけてください。

用心棒弁護士の画像に感動し、マンガ化したいのですが、弁護士会から品位を損なうと中止命令が出そうです。弁護士会と闘ったら、闘う弁護士と名乗っても良いものでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました