弁護士石井です。
先日、X上で、弁護士が弁護士から内容証明郵便を受け取ると、不愉快になるという投稿があり、議論がありました。
たしかに受け取ることもあるけど、あまり気にしていなかったので、無意味に相手を不愉快にしないよう意識しようと思いました。
内容証明郵便の役割と意義
内容証明郵便とは、特定の内容の文書を、いつ、誰から、誰に対して発送したて届いたかを郵便局が証明する特殊な郵便サービスです。
しかし、紛争当事者の両方に弁護士がついた後では、この内容証明郵便の使用について様々な意見があります。
X上の意見は、弁護士は嘘つかないから、「届かなかった、内容が違った」と言われないための内容証明郵便は使わなくて良いんじゃないの?というもの。
実務での内容証明郵便の使用状況
私の業務スタンスとしては、相手に弁護士が代理人についている場合、基本的に内容証明郵便は使用しません。
連絡手段として使い意味がないかな、と思いまして。
ただし、明確にいつ届いたかを確定する必要がある法的な通知の場合には使用することがあります。
例えば、クーリングオフの通知、契約解除の通知、婚姻費用の初回請求などですね。
これらのケースでは、通知が届いたことだけでなく、いつ届いたかにより、期限や権利行使の時期が重要になる性質です。
内容証明郵便を利用することで、確実に通知した日付を証明できるメリットがあります。
議論を見るに、他の多くの弁護士も、私と似たようなスタンスを取っているようです。
弁護士相手でも内容証明郵便を送りたがる人
一方で、企業の場合は少し事情が異なるようです。
企業は弁護士相手であっても、内容証明郵便の使用を希望するケースがあるとのこと。これは、企業の法務部門が、より確実な証拠を残すことで法的リスクを管理したいという意図があるためでしょう。
企業の場合、個人の弁護士とは異なり、組織としての意思決定や責任の所在を明確にする必要があります。
そのため、重要な法的通知については、相手が弁護士であっても内容証明郵便を使用することで、確実な証拠を残そうとする傾向があるみたいです。とりあえず内容証明を送っておけ、という古き慣習に従っておこうというスタンスに見えます。
内容証明郵便の代替手段と効果的な使用法
弁護士間の連絡手段として、内容証明郵便以外の方法としては、それ以外の郵便、電子メール、FAXなどが使われています。
電話という方法もあるのですが、依頼者に伝える関係上、何らかの書面・テキストをもらった方が転送しやすいので、上記の方法を取る弁護士が多いと感じます。これに対し、依頼者にそのまま伝えるとより紛争が長期化しそうな微妙な内容の場合には、電話が使われることもあります。
和解の可能性を確認するような場合などですかね。
まとめ
というわけで、依頼者の皆様は、相手に弁護士がついた場合、自分の弁護士に対して、内容証明で送ってほしい、うちの先生は内容証明を送ってくれないから不安、のように考えるのは、問題解決につながるものではないので、やめておいた方が無難かと思われます。
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