弁護士石井です。
過払い金について、平成27年6月1日に最高裁判決が出ていますので、その報告。
http://mainichi.jp/select/news/20150602k0000m040110000c.html
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG01HBG_R00C15A6CR8000/
判決文はこちら。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/133/085133_hanrei.pdf
貸主側に債権譲渡があった場合の話です。
債権者が変わるなんてことはよくありますが、債権譲渡の際に、借り主側が異議なき承諾をしていたことが問題にされました。
図を作っている時間も、マジックを取りに行く時間もありませんので、近くにあった筆ペンで書くと、こんな感じです。
A社との間で取引していた借主に対する債権が、CFJに債権譲渡されました。
その時の金額が46万円。ただし、利息制限法でグレーゾーン金利を精算すると33万円。
債権譲渡の際には、借り主は異議がない承諾をしています。
で、後日、CFJに対して、過払い金返還請求をするとき、債権譲渡時の金額を、46万円とするのか、33万円とするのかで問題になります。
CFJ側は、債権譲渡時に異議がない承諾をしているんだから、46万で計算すべきでしょうと主張。
高裁はこの主張を認めていましたが、今回の最高裁は、CFJの主張を排斥。
CFJに過失があったら、46万の主張は通りませんよ、と言っています。
「債務者が異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をした場合において,譲渡人に対抗することができた事由の存在を譲受人が知らなかったとしても,このことについて譲受人に過失があるときには,債務者は,当該事由をもって譲受人に対抗することができると解するのが相当である。」
判決では、通常の注意を払えば分かるでしょ、的なことを言っています。
まあ、要は、貸金業者にとっては、利息制限法なんて常識なわけですから、この主張をされたら、33万円の債権だったことは、ちょっと計算すれば、分かったでしょ?それを、無知な借主の承諾があっただけで、「えー、うちら46万円だって思ったやんけ」と主張するのはダメでしょ、という判断です。
異議なき承諾を形式的にとってもダメだということですね。
妥当な判決だと思います。
債権者が変わっている過払い金の相談もよくあります。
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