『破産申立代理人の地位と責任』

借金問題

弁護士石井です。

『破産申立代理人の地位と責任』という本を読みました。

 

 

破産申立代理人の地位と責任
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申立代理人も破産手続に責任をもって対応しなければならず、破産者の行動に責任を負うこともあるという話です。

 

申立代理人は、依頼を受けたら、迅速に破産申立てをしなければならないとか言われるわけですが、依頼者も受任通知の発送で取立が止まると、なんか気分が抜けてしまうのか、準備に協力的じゃなくなっちゃうケースもあるんですよね。
辞任を匂わせつつ準備を急がせるのですが、本人が動かないと代理にとしてできることは限度がある、という話になってしまうこともあります。

 

以前に、受任通知を発送しない密行型での申立の話に触れましたが、破産実務に関わっていて、密行型の一番のメリットは、依頼者が申立まで急いでくれるという点にあるのではないかと感じたりもします。

受任通知が送られない=取立がやまない→早く準備しなきゃ
という発想になってくれやすいです。

 

ま、みなさま、やると決めたからには、しっかり対応しましょう。

 

本の中で、申立費用に関する記載がありました。
最近、管財人業務の中で話題になった点です。

 

法人と代表者の破産申立費用について、厳密に区別すべきかという話です。

法人と代表者は別人格なので、法人の申立費用は法人の財産から、代表者は個人財産から
というのが原則です。

でも、どっちかには財産がないことも多いじゃないですか。
片方の財産で両方の申立費用を出すことならできるけど・・・というケース。

 

形式論で考えると、管財人による否認の問題とか出てきてしまうのですが、過去の管財人協議会では、何となく否認したくないよね、申立しないといけないわけだし・・・
みたいなニュアンスで話し合われていました。

この本でも「申立費用の支払については、柔軟に解釈する方向で知恵を絞る必要がある」なんて書かれています。

 

このあたりを考えると、実態として一方の財産から他方の費用を捻出することは認めるけど、そのままストレートに言うなよ、何らかの理論武装をしろよ、という話だと解釈しています。

 

申立代理人が、会計的に問題ない理屈で対応すれば良いのではないかと。

 

あと、高すぎる申立費用だと否認される裁判例もあります。

そんなんで破産事件が延びると、依頼者にも不利益ですね。

本の中では、
債権者16名
負債総額約4570万円
申立前に回収残高約1436万円
で、申立費用として200万円ないし300万円が支払われていたことがある
という事例が報告されています。
こういうケースは珍しくないと言っているので、否認しない額という趣旨なのでしょう。
もちろん業務内容によりますが。

「ないし」ってどういうことか、という気になる点はありますが、これくらいの額がかかるという一例ではありますね。

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