遺言書のチェックポイント

遺言書チェックポイント 相続

弁護士石井です。

『遺言書作成聴取事項のチェックポイント』という本を読みました。

遺言書チェックポイント

遺言書については、2019年1月13日に自筆証書遺言の緩和ルールが施行されています。

いままで、すべて自分の手で書かなければならなかったのですが、目録部分などはワープロや資料添付でも良いルールに変わりました。

私は、毎年、年始に遺言書を作成・修正しているのですが、私程度でも手書きは苦痛なので、資産家の皆様はさぞ腱鞘炎のことと思います。
この法改正で、世の中から腱鞘炎になる人が減ることでしょう。

 

自筆証書遺言のハードルが下がったところで、作る人が増えると見込んで、チェックポイントの紹介です。

実務家を対象とした本ではありますが、専門家に相談した際、どのようなことを聞かれるのかわかれば、それ以外の方でも遺言書作成の際には役立つことでしょう。

実務家の人は、ヒアリングシートがダウンロードできるようなので、活用すれば漏れがないかと。

本の中では、相談を受けることが前提にされているので、

そもそも相談者に遺言能力があるか?

また、遺言書作成時期について緊急性があるか?などもチェックポイントにされています。

遺言書作成には、大きく2つのチェックポイントがあります。
家族と財産。
まあ、家族というのは相続人ですね。

誰が相続人なのか、と、どういう財産があるのかをまず確定しましょうと。
そのうえで、分け方を考えるわけです。

この流れは、相続問題でも一緒ですね。

家族について

離婚歴、再婚歴、養子縁組歴など。
離婚した相手との間の子にも相続権はありますので、そういう漏れを防ぐためのチェックポイントです。

また、配偶者について、判断能力の有無、後見など。
予備的遺言をするかどうか。
予備的遺言は、妻に財産を与える、が、自分より先に妻が死んでいた場合には、子に与える、みたいな内容です。

遺言は作り変えが可能なので、妻が先に亡くなってしまった場合には、遺言書を新しく作れば良いのですが、
面倒だったり、それができないような状態のこともあるので、念のために予備的な話まで載せておくのかどうかというポイントです。

内縁関係について。
父と子については、認知がされているかどうか。

子がいる場合、所在は確定できているか。
知らぬ間に亡くなっているケースもあります。

残したくない子がいる場合に、廃除までするかどうか。する場合、生前か、遺言執行者を選んで死後にするか。

親について。
子がいない場合には、親が相続人になります。
養親にも相続権はありますので、養子縁組の有無などチェックが必要です。

 

財産について

もれなくリストアップしておく必要があります。

不動産
市町村が特定できているなら名寄帳などで一覧できます。
借地権などの場合には、契約書を準備。更新、終了時期なども確認。
未登記建物がある場合にも特定しておいた方が良いです。

預金
通帳、取引明細から漏れがないかをチェック。

有価証券
証券会社等から明細取り寄せ

保険、死亡退職金
これらが相続財産になるのか、遺族固有財産になるのかで変わってくるので、退職金規定等をチェック。

海外資産も忘れずに。
特許権、商標権、著作権も財産です。

債権なども時効管理と合わせて。

動産について、美術品、絵画、宝石など高価なものは特定することもありますが、すべては特定できないので、その余の財産は・・・みたいな記載にして、同居人にわたすことが多いです。
債務については、分割されますが、考えがあるなら遺言に残しておいて、相続人間では負担について効力をもたせる方が良いでしょう。
本の中では、葬儀費用についても書いておくと良いという記載がありました。

葬儀費用は、喪主負担となるので、相続債務ではないのですが、考えを記載しておくことで、紛争が減るのではないかとの指摘です。

他のチェックポイント

仕事というものもあります。
事業や会社経営をしている場合の、事業承継の話でしょう。

また、過去に遺言書を作成しているか、というチェックポイントもありました。
明確に内容を変えた遺言なら良いのですが、中途半端で解釈の余地を残す遺言があったりすると問題になるので、過去の遺言書作成の有無、その内容もチェックしておくべきでしょう。

このあたりは、専門家に頼まず、自分で作成する場合にも大事な点なので、おさえておいてください。
厚木の弁護士事務所 相模川法律事務所

t02200131_0222013212770131653

コメント

タイトルとURLをコピーしました