財産開示手続きの実効性向上、債務者逮捕で注目集まる

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弁護士石井です。

財産開示手続きでの逮捕者の報道がありました。

裁判所出頭拒否の疑いで男逮捕 福岡、成人式の衣装代「不払い」(共同通信) - Yahoo!ニュース
 福岡県警戸畑署は20日、成人式の貸衣装代を払わないとして裁判所から呼び出された手続きに出頭しなかったとして、民事執行法違反(陳述等拒絶)の疑いで、北九州市若松区の自称自営業、大捕依舞樹容疑者(27

まあまあ、珍しい話です。

財産開示とは

裁判所が行う「財産開示」手続きがあります。

この手続きは、債務者が債務を履行しない場合に、債権者が債務者の財産状況を把握するために用いられるものです。

裁判所の判決が出ても債務者が支払をしない場合などに、民事執行法で用意されている手続きです。

財産開示で逮捕されたとの報道内容

福岡地裁小倉支部で「財産開示」手続きが行われたものの、債務者が出頭命令に応じなかったため逮捕されたという報道です。

この事件は、北九州市のレンタル衣装店「みやび」が成人式の衣装代金約23万円を請求したことに始まります。債務者は、2022年9月に福岡地裁小倉支部から「財産開示」手続きのために呼び出されましたが、正当な理由なく出頭しませんでした。
これを理由に、民事執行法違反の疑いで逮捕されたというものです。

2020年に施行された改正民事執行法では、呼び出しに応じない場合に厳しめの刑事罰が導入されています。

「財産開示」手続きは、債務者が債務を履行しない場合に、裁判所が債務者の財産状況を明らかにするために行う手続きです。債権者がこの手続きを申請し、裁判所が債務者に対して財産の詳細を開示するよう命じます。

財産開示手続きの主な目的は、債権者が債務者の財産状況を把握し、適切な回収手段を講じることです。

期日があれば債務者は呼び出され、自身の財産について情報開示をしなければならないルールになっています。

情報を知ることで、債権者は債務の回収可能性を高めることができます。

財産開示の手続き

財産開示手続きの流れは以下の通りです。

1. 申立て: 債権者が裁判所に対して財産開示手続きを申立てます。
2. 出頭命令: 裁判所が債務者に対して、特定の日に裁判所に出頭するよう命じます。
3. 財産の開示: 債務者は出頭し、裁判所に対して自身の財産状況を詳細に開示します。
4. 記録の作成: 裁判所は開示された情報を記録し、債権者に提供します。

財産開示での債務者の義務

民事執行法第199条第1項には、以下のように定められています。

> 第199条第1項
> 開示義務者(略)は、財産開示期日に出頭し、債務者の財産(略)について陳述しなければならない。

この条文により、債務者は裁判所に出頭し、自身の財産について陳述する義務があります。

出頭命令に従わない場合の罰則

従来、財産開示手続きに呼び出されたのに出頭しない場合、過料という行政罰が課されるのみでした。しかし、法改正が行われ、出頭命令に従わない場合に懲役刑が新設されました。

> 第213条
> 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
>
> 第5項
> 執行裁判所の呼出しを受けた財産開示期日において、正当な理由なく、出頭せず、又は宣誓を拒んだ開示義務者

この改正により、出頭命令に従わない債務者に対する罰則が強化され、手続きの実効性が高まったとされていました。

財産開示手続きのメリット

財産開示手続きを通じて、債権者は以下のメリットを享受できます。

– 債務者の財産状況を詳細に把握できる
– 債務者が隠している財産を見つける可能性が高まる
– 債務の回収可能性が向上する

財産開示の実効性が上がる?かも

財産開示手続きは導入されたものの、実効性が乏しいと言われていました。

そうすると、裁判所で民事裁判を起こし、判決をもらっても紙切れになってしまいます。

厳しい刑事罰が導入されたものの、実際に刑事手続が進めてもらえるのか疑問もありました。

しかし、今回の報道のように、逮捕までされる事例が増えれば、無視しても良いと考える債務者は減り、

多少は、債権回収に役立つようになることが見込まれますね。

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