弁護士石井です。
銀行預金のキャッシュカードを盗まれて、預金を引き出されてしまった場合、預金者保護法で保護してもらえる可能性があります。
保護されるためには、キャッシュカードや暗証番号をしっかり管理していたことが必要です。
では、「しっかり管理」とは、どのようなことを言うのでしょうか?
管理方法が問題になった裁判例を紹介しましょう。
東京地裁平成22年12月28日判決。
深夜に男性が、中国人女性客引きに誘われ中国人スナックで飲酒した際、
やたらを延長するように求められたので、
中国人ホステスと一緒に近くのコンビニに行き、1万円をATMからおろしてホステスに渡した、
その後、何杯か飲んで記憶を失う、
キャッシュカードを盗まれて引き出された、という事案です。
判決では、ATMからおろす際に、ホステスが暗証番号を盗み見ていたと推測しています。
なにやら常習的な匂いがする事件ですね。
預金者側は、そのような主張をしたようですが、判決では、預金者の過失を認め、引き出された額のうち、4分の1は、預金者が負担すべきと判断しています。
「原告は、深夜飲酒の上、ATMの近くに見知らぬホステスを伴い、その視野の中において暗証番号の入力操作を行い、しかも、引き下ろした金をすぐ横にいるホステスに示したことが認められ、暗証番号を盗み見られたり知られたりすることのないようにする注意を怠り、暗証番号を適正に管理する注意義務に違反した過失があるものと認められる。」
いくらホステスが近づいてこようが、密着してこようが、暗証番号を入力するときには、突き放す勇気が必要です。
日本男児のみなさん、気をつけてくださいね。
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