取締役の住所特定は難しい

弁護士石井です。

株式会社から、詐欺的な被害を受けた場合、会社だけでなく、代表取締役、取締役に対しても、会社法429条に基づく損害賠償請求をすることがあります。

ただ、取締役として登記されている人を特定するのが難しいケースがあるのが現実です。

現在、代表取締役以外の平取締役、監査役は、株式会社の登記上、氏名だけされれば良いとされ、住所は記載されない扱いとなっています。

かつては、登記簿を確認して、平取締役の住所も調べることができましたが、現在は難しくなっています。

そのようなときには、法務局まで行って、登記された際の申請書類を閲覧して住所を調べることもできます。

ただ、こちらの方法もうまくいかないことがあります。

取締役会設置会社の場合、平取締役の就任承諾書への押印は実印でなくとも良いとされ、印鑑証明書の添付は不要とされています。住所の記載も不要です。

登記の申請書類上からも、平取締役の住所が特定できないこともあります。

ここで疑問が湧きます。

平取締役として登記されている人物は、実在するのか?

印鑑証明書が必要であれば、少なくとも実在する人物である可能性は高いです(もしくは印鑑証明書の偽造。もちろん犯罪)。

詐欺的な会社の場合、役員として登記されているのが名義貸しだったり、少しだけ現金を受領したホームレスだった、みたいなケースはよく聞きましたが、現在は、実在するのかどうかも怪しくなっています。

本来、株式会社は、個人よりも信頼ができるというイメージがありましたが、株式会社による違法行為が増えた場合、この信頼は覆されるでしょう。

会社だからしっかりしてそう

というイメージは、早急に改めるべきでしょう。

厚木の弁護士事務所-厚木の弁護士

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