弁護士石井です。
先日、横浜地裁の最上階の大会議室で、管財人等協議会に出席してきました。
横浜スタジアムが見える、これよりもさらに上の階です。
法人破産を含む申立や個人再生の問題について、裁判官・弁護士がいろいろと協議をする場です。
裁判所の考えがわかったり、他の弁護士がどのように業務を進めているか知ることができる貴重な時間でした。
この協議会は、ただの協議の場ではなく、神奈川県における実際の運用に影響を及ぼすことがあります。
数年前に個人再生における共有不動産の価値をどう評価するかという問題について、
この協議会の議事録が問題視されたことがあります。
債務者に有利な結論を導く文献があるのに、この協議会議事録がネックになって、不利な結論になってしまいそうになる。
そのため、私は破産管財人という立場で出席していたのですが、視点は申立側、債務者側になっていました。
この結論で運用上問題にならないか?
こういう相談者が来た場合、この結論を議事録に残して大丈夫か?
なんか発言しておいた方があとで使えないか?
裁判所が出した結論に、全員の弁護士が「まあ、仕方ないだろう」と考えてしまう問題があります。
今回も、養育費だけが振り込まれていた子供名義の預金口座について、
これを管理していた親が破産する場合、
この預金口座も破産財団として配当にまわすかという問題がありました。
裁判所は、判例を紹介し、口座の開設者や名義、管理状況、預金の出所などから、この事例では、
破産の対象になるのも仕方ないのではないかという結論。
私を含め、多くの弁護士がその結論も仕方ないか、というムードの中、
「このケースでも、子供の財産って考え方も十分アリだと思う」
と発言した弁護士がいました。
「仕方ない、で終わったら、お客さん帰っちゃいますよ」
と。
うむー、そのとおりですね。
与えられた制約(判例)のなかでも、できることはある。
妥当な結論を導き出すために、どのようなロードマップを描けば良いか。
私たちの価値はそこにあるのでしょう。
脳に汗をかくという初心を忘れずにがんばります。
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