◆はじめに
「解雇のしやすさ」のさじ加減については、いろいろと意見が別れるところだと思われる。
雇われている側は解雇されにくい法制を、逆に雇っている側は解雇しやすい法制を歓迎するだろう。
どちらを重視しても、長所短所はそれぞれ生じるので、一義的には答えの出しにくい問題である。
◆現状と解雇の要件
現在の日本では、適法に解雇できる要件がたいへん厳しく設定されている。
平時の解雇の場合、解雇が合理的で、そのような重大な処分をすることが相当だと言えるような場合でなければ、無効になる。
したがって、解雇を言い渡されても、解雇無効となったり、損害賠償が可能なケースはかなりあるので、あきらめないことが重要である。
◆解雇されたらとりあえずすること
急に解雇された場合には、とりあえず、書面で解雇理由を交付してもらうように請求するとよい。解雇理由書の交付は雇い主の義務である(労基法22条)。
注意点は2点。
一つは、絶対に解雇の日までに請求すること。請求しても応じてくれなければ、内容証明で請求しておく。
二つめは、理由をなるべく具体的に書いてもらうこと。理由は、後で裁判等になったときに、後付けの理由を退けやすくなるから。
◆その他
解雇を言い渡された場合には、証拠収集の問題、解雇予告の問題、自己都合・会社都合のどちらにした方が得かといった問題など、検討すべきことは上記に限られない。
◆ 最後に
解雇された後の対応については、大雑把に言って、会社に勤め続ける方向性と、勤続はあきらめて金銭請求を行う方向性がある。
この方向性次第で、その後にとる手続きも変わってくる。
弁護士 田中
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