神奈川県の自己破産オーバーローン基準1.5倍に運用変更

裁判所 ニュース

弁護士石井です。

2023年1月より、神奈川県内での自己破産での基準が変更になりました。

不動産を所有している人が、同時廃止という簡単な手続で進められるか、破産管財人が選任される手続になるかの基準です。

Q.同時廃止と異時廃止の違い、基準や条件は?

2022年までは1.2倍基準だったところ、1.5倍基準に変更されました。
東京地裁などと同じ基準に変更されています。

この数字は何かというと、オーバーローン基準です。
不動産の評価額と、抵当権が設定されている住宅ローンなどの残額を比べて、どれくらいオーバーしているかという基準です。

たとえば、不動産の評価額が1000万円、住宅ローンが1300万円という場合、不動産の評価額の1.3倍のローンが残っていることになります。
この不動産を売っても、住宅ローンの返済だけで終わりそうです。

そのため、2022年までは、1.2倍までなら、オーバーローンで他の債権者への配当などにはならなさそう、ということで、この不動産だけを理由に破産管財人を選任することはありませんでした。
破産管財人を選んで売っても、配当に回すだけのお金にはならない確率が高かったからです。

この基準は、明確な法律はなく、各地の運用で決められていました。

ただ、東京地裁などは1.5倍を採用していました。破産の本などでも、1.5倍の記載がされていることが多かったです。
そこで、これに合わせて1.5倍基準に変更されたものです。

いきなり1月に告知されたので驚きました。

これにより、1.3倍の人などは、昨年までは同時廃止で進められた可能性がありましたが、今年からは管財事件になります。

20万円の予納金を別に準備したり、破産管財人との面談・債権者集会への出席など負担は増えることとなりました。

昨年後半に自己破産を検討していて、オーバーローン前提に動いていた人は負担増となってしまいましたね。

今後、金利上昇の方向に動いた場合には、住宅ローン破綻が増えそうですが、自己破産という選択では、昔よりも負担が増えることでしょう。

最近の傾向を見ると、自己破産でも個人再生でも申立が遅れると、申立人の負担が増えるように感じます。
やると決めたなら、なるべく早めに動いた方が良いでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました