弁護士石井です。
会社が倒産した際に、給料をもらえていない場合、未払賃金立替払い制度で一定額もらえる可能性があります。
解雇予告手当は対象外。
退職金はもらえる可能性があります。
しかし、退職金は、法律で認められた権利ではありません。
通常は、退職金規程、就業規則や雇用契約で特別に与えられるものなのです。
そのケースにおいて、退職金が「権利」として与えられていると判断された場合、これが払われていなければ、未払賃金立替払い制度で受け取れる可能性があるのです。
ここで一つ問題があります。
退職金規程があれば良いのですが、実務上、規定がない場合でも、慣行で退職金を払っている場合には、権利が認められると言われます。
慣行。
あいまいな基準です。
「2年前に辞めた○○さんは退職金をもらっていた!」
からと言って、必ずしも権利として認められるわけでもありません。
書籍によると以下の記載があります。
「たまたま会社に顕著な貢献をした労働者が退職したときに事業主の裁量で退職慰労金的な性格の金員が支払われることがあったとしても、過去のほぼすべての退職者に退職金が支給されていなければ慣行が成立していたとは認められません」
「少なくとも支給基準について『紙に書いたもの』の存在が必要であると考えます」
『未払賃金立替払制度実務ハンドブック』 92ページより
紙に書いたものがないとダメかと言われると、破産管財人の立場からすれば、紙がない場合でも証明書を発行する可能性はあると感じます。
ただ、立替払いをする機構の審査は厳しくなりますので、実際の支給例を厳しくチェックすることになるでしょう。
少なくとも、会社が過去の支給実績について、しっかりと記録を残していることが重要です。
未払賃金立替払制度実務ハンドブック | |
吉田 清弘 野村 剛司
きんざい 2013-04-11 |
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