弁護士石井です。
工事現場など、請負契約の現場では、工事中に設計変更がなされることはよくあります。
内容が変わった場合には、変更契約書を作成する方がトラブルになりません。
しかし、現実には、口頭で、変更内容や代金について合意してしまうことも多いです。
この合意どおり契約が実現されれば問題ありませんが、口頭合意だと、ときとして、言った言わないの問題で裁判になることもあります。
裁判にまでなれば、変更契約書がなくても、工事代金の増額請求が認められることもあります。
たとえば、札幌地裁平成10年3月20日決定では、
変更契約が成立したとはいえないとしつつ、
「発注者が請負工事の内容を変更する要望を出したときに、請負者か発注者に見積書を提出するなどして請負金額の増加を求める意思を明示したのに対して発注者が変更工事を着工させた場合や工事内容の変更が設計図書の不備ないし管理者の施工についての指示の不備を原因としている場合には、請負者は、発注者との協議が成立しなくとも時価による請負代金の増額を請求できるものと解するのが相当」
として、変更部分の請求を認めています。
建築会社としては、見積書を出しておいたことで請求が認められたわけですが、回収のために裁判までしなければならなくなっています。
可能な限り、変更契約書の作成、それが無理でも最低でも見積書くらいは出しておき金額を明示しておくことを心がけましょう。
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