弁護士の香崎です。
パワーハラスメント、略して「パワハラ」という言葉も、随分世の中で浸透してきました。
その意味は、「職場における職権等の力を利用した人権侵害」と言われています。
この被害を受けた場合、加害者個人に対しては不法行為に基づく損害賠償請求、その
会社等に対しては安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求等をすることが考えられま
す。
それを認めた裁判例もちらほら存在するわけです。
損害賠償請求が認められたある裁判例を見てみると、加害者が被害者に「死ねよ。」
「殺す。」「あのとき死んじゃえばよかったんだよ。馬鹿。」などの言葉を投げかけ、その
外にも、使い走り、用もなく休日の突然の呼び出し等、こんな職場があるのか、という
ような仰天のエピソードが目白押しでした。
ここまでのことがないとパワハラとはいえない、というわけではないでしょうが、すごか
った。
しかし、「セクハラ」の場合と同様、パワハラの場合も、どこからが損害賠償請求が可
能な程度の人権侵害になるのか、個々のケースでその判断は非常に難しいと思いま
す。
去る1月7日の朝日新聞で、パワハラ防止策について検討中の厚生労働省のワーキ
ング・グループがまとめたという報告書が、紹介されていました。パワハラの具体例も
挙げられていましたが、
「身体的な攻撃(暴行、傷害)」
はわかりやすいですが、
「精神的な攻撃(脅迫、侮辱、ひどい暴言)」
「過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行の不可能なことの強制、等)」
になると、人によって或いは状況によって受け取り方も違うだろうし、もう判断に迷いそ
うです。多分このワーキンググループ内では膨大な件数の実例を検討して、何とか線
引きを作ろうと取り組み中なのだと思いますが。
いずれにしても、対処法の第一歩としては、まずは一人で悩まずに相談することでし
ょう。
当事務所、地元の弁護士会相談センター、日本労働弁護団03-3251-5363など。
多くの勤め人にとって、職場は(寝ている時間を除き)1日の大半を過ごす場所ですか
ら、少しでも快適な環境にできるようにしましょう。
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