弁護士の某です。
私には、民法において「配偶者」と称される関係の者がいます。
多くの人がそうであるように、私と私の配偶者とは、お互い生まれ育った家庭環境
も社会環境も異なるため、色々と考え方や行動様式に違いがあります。夫婦とは、
そのような不一致を、受容する(要するに「あきらめる」)ことによって日々やり過ご
して行く作業であると、私は思います(多分相手も同じことを私に対して思っている
と思います)。
さて、私の配偶者の行動のうち、理解が難しかったことの一つに、「一度冷蔵庫に
入れた物は決して捨てない」というものがあります。一度冷蔵庫に入れた食材は、
料理に使うか、残ったらそのまま引っ越しまで放置するか、どちらかしかないよう
なのです。ふと気付くと、冷蔵庫の中の残り物が、青や赤の鮮やかな色合いに変
わっていることもあれば、生肉が次第にミイラ化していく様子などを観察すること
もできます。
私は時々たまりかねて中を整理します。秋に入ったころだったでしょうか。野菜室
の隅から、買ってから恐らく1~2か月経ち、表面がぶよっと柔らかくなっている梨
が出てきました。私は半分意地悪で訊きました。「この梨・・・食べられるの?」彼
女は吐き捨てるように言いました。
「知らない。私は梨じゃないんだから。」
ごもっともです。私は梨を丁重に葬りました。
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