弁護士石井です。
税金を滞納していたら差押えをされたという相談を受けました。
借金相談とあわせて多い相談です。
多重債務者の方には、
とりあえず目の前の督促から逃れることを考えて、税金よりも消費者金融・クレジット会社のローン返済を優先している人も結構います。
こ
のような優先順位で生活していて、後悔する人も多いです。自己破産をして免責が認められれば、
借金
の支払義務はなくなりますが、
税金
の支払義務は残ります。
場合によっては、延滞金
の減免は認められることはあるものの、本税
の滞納は続きます。また、個人再生手続では、滞納
税金が多額にあると、
ホントに再生できる
の?と裁判所から疑われます。
税金
の分割合意などをしないと手続が進められなくなります。
このように、多重債務の解消方法をみても、優先度としては、税金の方がローンよりも高いことが多いです。
それ以外にも、税金の滞納で恐ろしい体験をした人もいます。
今回のような差押えです。
借金を滞納して、財産を差し押さえられる場合、公正証書を作っていない限り、支払督促や裁判など、裁判所での手続がワンクッション入ります。
その時点で、適切な対応をすれば、差押えまではされずに済みます。
しかし、税金の場合には、そのようなワンクッションはなく、滞納しているといきなり差押えされます(もちろん、手紙での督促などはありますが)。
以前から問題にされていましたが、給料が振り込まれた直後に、預金口座を差し押さえられ、全額が税金の支払にあてられてしまう人も増えています。
給料そのものの差押えの場合には、限度額があり、全額が持って行かれることはありません。
差し押さえられる人の生活もありますから。
ただ、預金の場合には、限度額がありません。全部持って行かれます。
借金の差押えの場合、裁判所が間に入ります。
給料が入った直後の預金が差押えされた場合、その預金残高が実質的には給与だと主張し、差押え自体に異議を出して認められることもあります。
しかし、税金の場合には、担当者に異議を出してもなかなか認められません。
最近も、市の住民税を滞納して、給与が入った直後に預金差押えにより全額持って行かれ、1カ月の生活費や通勤費に悩んでいる人を見ました。
いろいろと法的根拠を出して交渉を試みたものの、融通が利かない対応をされてしまったようでした。
借金返済どころじゃなくなる。どうやって生きてくのよ?
という事態になります。
これじゃ仕事に行けないんで、辞めるしかなくなって、収入がなくなるんで、住民税が今後発生しなくなって、税収は減り、再就職できなければ生活保護の申請しかなくて、市の負担が増えると思うんですけど・・・
なんて論理は「知ったことか」と一蹴されてしまいます。
みなさま、血も涙もない冷徹な税金回収の方が怖い時代となりましたので、優先度を間違えないようにしましょう。
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