弁護士名義の内容証明郵便で回収成功が続出?

内容証明郵便 民事

弁護士石井です。

最近、内容証明郵便を弁護士名義で送るだけで債権回収できた事例が続いており、正直なところ意外に感じています。

個人的には、内容証明郵便はただの手紙であり、そこまで期待できる方法ではないと考えていました。裁判前の警告という意味程度の位置づけです。

しかし、実際の成果を見ると、相手によってはかなり効果的な手段となることがまだまだあるのですね。

内容証明郵便の基本的な効果

内容証明郵便は、法的には単なる郵便物です。強制力はありません。

しかし、以下の点で一定の効果があります:

心理的プレッシャー:弁護士名義の内容証明は、受取人に「本格的な法的手続きが始まった」という印象を与えます。

証拠としての価値:後の裁判で「催告した」「通知した」という証拠になります。クーリングオフとか契約の解除の通知などです。

証拠としての価値があるときには使いますが、心理的プレッシャー効果は相手次第というのが実情です。

企業相手と個人相手の違い

経験上、相手が企業か個人かで、内容証明郵便への反応は大きく異なります。

企業の場合

一定規模の企業だと、内容証明を送っても、それだけで支払ってくる可能性は低いです。

理由として:

  • 法務部門や顧問弁護士がいるため、内容証明の意味を理解している
  • 支払いには適切な手続きや承認が必要
  • 解決合意書など正式な書面での解決を求める傾向がある

そのため、企業相手では内容証明送付後の交渉が必要になることがほとんどです。

まあ、無視はされにくい、という程度の意味はあるでしょう。

なお、悪質商法の業者なども当然、同様以下の反応を示します。彼らは法的手続きに慣れているからです。クレームや返金請求が多い業者にとっては、内容証明郵便を受け取ったからって慌てることはありません。

個人の場合

一方、個人の場合には、相手がインパクトを感じるかどうかが重要になります。

相手によっては、内容証明だけで請求額をそのまま振り込んできて解決となることもあります。

この違いは何でしょうか。

なぜ個人は内容証明に反応するのか

個人が内容証明郵便に強く反応する理由として、以下が考えられます:

法的知識の不足:一般の方は、内容証明郵便がどの程度の法的意味を持つのか正確に理解していません。そのため、必要以上に重大に受け止める傾向があります。

弁護士名義の威圧感:弁護士という肩書きが持つ権威性が、心理的プレッシャーを与える可能性もありそうです。

裁判への恐怖:「このまま放置すると裁判になる」という恐怖心から、早期解決を図ろうとします。裁判だけは避けたいという人が何故か多い。

社会的体面への配慮:近隣や家族に法的トラブルを知られることを避けたい気持ちが働いていることも。

実際に、内容証明を受け取ったとして相談に来る個人からは、このような意見を聞くことも多いです。

コスパの良い解決事例

最近、損害賠償請求の内容証明を弁護士名義で送ったところ、50万円程度の回収を数日でできた事案が複数あります。いずれも個人相手のものです。

高額すぎる請求額ではありませんが、受け取った人から相談を受けたら、値引き交渉してみたら?と回答することもありそうな内容でした。回収タイミングからして、弁護士への相談などはせず、支払ってきています。

内容証明郵便や交渉の依頼を受けるときには、相手の性格なども聞くことが多いです。相手がどのようなタイプかによって、解決可能性が変わるからです。

しかし、他人のことはわからないもの。

最近、内容証明郵便だけで解決した事案では、相談時に聞いた相手の性格からすると、裁判まで考えないと回収確率は低そうですね、と回答していたものでした。実際に、裁判の準備も進めていた事件もあります。

交渉事件で、実際に相手と話をしてみると、聞いていた性格とずいぶん違うと感じることもあります。相手も接する人によって性格が違うのかもしれませんね。分人という概念ですね。

ともかく、内容証明郵便だけで解決できるとなると、弁護士が代理人として交渉したり裁判を起こすような費用はかからず、極めてコストパフォーマンスの良い結果となります。

我々としても、依頼者の方に、弁護士を使うメリットが出て解決となるのはうれしいものです。

まとめ

内容証明郵便は「ただの手紙」という側面もありますが、使い方と相手次第では非常に効果的な債権回収手段となります。

特に個人相手の場合、予想以上の効果を発揮することがあります。

ただし、万能ではありません。相手の性格や状況を見極めて使うことが重要です。

企業や悪質業者相手では、内容証明だけでの解決は期待せず、その後の交渉や法的手続きを見据えた戦略を立てる必要があるでしょう。

債権回収でお困りの方は、まず相手の性格や状況を分析し、内容証明郵便が効果的かどうかを検討してみてください。意外な解決につながるかもしれません。

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