弁護士石井です。
久しぶりに上場会社の株主総会に参加してきました。
フジテレビの親会社、フジ・メディア・ホールディングスの株主総会です。
3000人もの株主が集まったとのこと。昔のライブドアに匹敵する規模だったらしいです。
株主総会の規模
今回参加したフジ・メディア・ホールディングスの株主総会は、想像以上の規模。
会場である有明アリーナには3000人もの株主が集まっており、交通整理、会場整理にも相当の人員を割いていました。
総会検査役の選任
今回の株主総会の決議を争われる事態を避けるため、裁判所で総会検査役を選任していました。
検査役の弁護士及び補助者が紹介され、会場では記録のためビデオでの撮影をしているとの告知がありました。なるほど、そういう趣旨か。
ちなみに、株主側は、録音・録画・配信の禁止、パソコン操作もしないようにと言われ、話を聞くしかありませんでした。
今回の争点:取締役選任問題
今回の株主総会の最大の争点は取締役の選任でした。
会社提案の取締役選任と株主提案(ダルトン)による取締役選任がどうなるのかという問題でした。
ダルトンは物言う株主として知られており、このような株主提案が注目を集めることは近年増加傾向にあります。コーポレートガバナンスの観点から、このような対立構造は決して珍しいことではありません。
面白いことがあれば、と思って1単位だけ株式を買っていたのですが、総会前には、概ね話はついていそうという情報もありました。
まあ、総会出席のチケットを確保してしまったし、一応、参加してみるか、と向かってみました。
事前議決権行使による結論の事前確定
実際の総会では、開始直後に、事前の議決権行使によって既に結論が決まっていたようでした。
- 会社提案:可決
- 株主提案:全員否決
明言はされなかったものの、そのような趣旨の発言が議長からされたほか、会場でも拍手で過半数賛成と判断するなどされていました。委任状を含む大株主を会場内でも把握していた様子。
当日の株主総会に出席した株主がどのような意見を述べようとも、結論は変わらないという状況でした。
一括審議方式の採用
結論が事前に確定していたこともあり、個別の議案について賛否の決議を取ることはありませんでした。代わりに採用されたのが一括審議方式です。
この方式では、複数の議案をまとめて審議し、個別の採決は行わずに進行します。効率的である一方、個々の議案に対する株主の細かな意見が反映されにくいという側面もあります。
取締役候補者が十数名おり、一人ひとりについて選任を可決するか否決するかという議論はせずに、まとめて全議案を説明、質問を受け付けて一括で審議するという流れですね。
株主総会の実際の意味
事前に話がついていたこともあり、株主総会は「株主の意見を聞く場」となっていました。
不祥事や直前のオンラインカジノ問題もあり、厳しい意見もありましたが、淡々と進んでいるなと感じました。
司法試験の勉強をしていた頃は、総会屋などで荒れていた株主総会の話を聞いていたこともありましたが、平和な会でした。
4時間超の長時間総会
総会は4時間以上も続いたようですが、途中で退散。
人の話を聞きながら長時間座り続けることができない体質だったことをすっかり忘れていました。
1時間くらい座り続けていると、アップルウォッチはスタンドの時間ですと言ってくるし、何かもうソワソワしてくるんですよね。
若い頃から、こういう体質だったので会議の類もなるべく避けて生きてきたのですが、コロナで会合も激減し、すっかり忘れていました。
内容も決まっているし、体調が悪くなる前に2時間弱で退散しました。
まとめ
個人的には仕事で株主総会に関わることは少なく、むしろ、経営権紛争で、株主総会してないじゃないか、とか、無効だと争うような相談がある程度です。
ただ、中小企業でも、あらかじめ揉めそうだけど重大な株主総会の場合には、総会検査役を選任してもらって記録のためにビデオ撮影するというのはアリかもしれないと感じましたね。
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