AskYourPDF&Show Meプラグインで判決を分析するChatGPTプロンプト

ニュース

弁護士石井です。

ChatGPTのプラグインであるAskYourPDFを利用して、裁判所サイトの判決PDFを分析してもらっています。

AskYourPDFで判決を分析(ビットトレント発信者情報開示)

前回は、精度が6,70点くらいと感じたのですが、少しプロンプトを工夫したのと、別にShow Meプラグインもセットして再テストしてみました。

ChatGPTでは、同時に3個までプラグインをセットできます。

ChatGPTプラグイン

判決PDFを読む前のプロンプト

民事裁判の一審の判決では、たいてい同じような論理構造になっているので、
それを最初にChatGPTに認識させました。
ついでに役割も与えてみました。たぶん、書き方については、もっと良い形式があるはずです。

「あなたは優秀な裁判官です。

これから判決を読んでもらいます。

まず、民事裁判の判決文の構成を復習しておきます。

主文・・・結論を示します
事案の概要、前提事実・・・争いがない客観的事実が書かれています。
争点・・・この裁判での争点が列挙されています。
争点に関する当事者の主張・・・争点ごとに原告・被告の主張が書かれている箇所です。客観的な内容ではありません。
判断(裁判所の判断)・・・争点ごとに裁判所の判断理由が書かれています。これ以降が大事です。

まず、以上の流れを理解したらOKと返事してください。」

AskYourPDFに判決を読み込ませる

そこから判決のPDFを読み込ませます。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/082/092082_hanrei.pdf

今回は令和5年5月11日大阪地裁判決です。

事案の概要を説明させる

事案の概要の説明をしてもらいます。

この裁判は、アマゾンジャパン合同会社(以下「アマゾン」という)の運営するインターネットショッピングサイト(以下「アマゾンサイト」という)上に開設されたストアで商品を販売する原告と被告間での問題についてのものです。

具体的な詳細については、PDFの全文を読む必要がありますが、この部分では、アマゾンサイト上での商品販売に関連する問題が争われていることが示されています。

判決文での事案の概要は1ページ目から2ページ目に分かれているためやはりそこはうまく拾えてないものの全体からなんとなくの概要を書いてきました。

これだけだとよくわからないのでどのような訴えを起こしたのか聞いてみました。

原告は、アマゾンジャパン合同会社(以下「アマゾン」という)の運営するインターネットショッピングサイト(以下「アマゾンサイト」という)上に開設されたストアで商品を販売していました。しかし、被告による一連の申告により、原告の商品がアマゾンサイトから削除され、出品が停止されました。

原告は、この出品停止により損害を受けたと主張し、被告に対して損害賠償を求めています。具体的な損害額については、証拠上表れる作業内容等を踏まえると、当該従業員が、通常の業務の範囲を超えてこれらの作業等に従事したこと及びそれにより原告における当該従業員に対する給与支払額等が現実に増加した等の事実は認められないとされています。

また、被告は、原告がアマゾンによる出品停止に異議を述べることなくこれに従ったこと、及び本件商品1から3及び5について、出品停止期間が5日を超える部分の損害については、原告がアマゾンに対する対応を放置したことによるものであることを指摘して、原告に過失が認められると主張しています。

しかし、裁判所は、前記1(3)のとおりの本件各申告の経緯及びこれに対する原告の対応等に照らせば、原告に被告が主張するような過失があるとは認められないと判断しています。

以上の情報に基づき、原告は被告に対して損害賠償を求めて訴訟を提起したと理解できます。

訴えの大まかな内容は理解できました。

争点を確認する

次に争点を聞いてみます。

この裁判の主な争点は以下の2つでした:

争点1:本件各申告が虚偽事実の告知または不法行為に該当するか

原告は、被告がアマゾンに対して原告サイト上に掲載した画像等が被告の著作権を侵害する等の申告をした行為が不正競争防止法(不競法)2条1項21号の不正競争行為または不法行為に該当し、当該行為により損害を被ったと主張しています。

争点2:原告の損害の有無及びその額

原告は、被告の行為により損害を被ったと主張し、その額についても争われています。具体的な損害額については、証拠上表れる作業内容等を踏まえると、当該従業員が、通常の業務の範囲を超えてこれらの作業等に従事したこと及びそれにより原告における当該従業員に対する給与支払額等が現実に増加した等の事実は認められないとされています。
以上の争点に基づき、裁判が進行しました。

一応、判決文を見てみると争点欄には3つの争点が書かれていました。
2 争点
(1) 本件各申告が虚偽事実の告知(不競法2条1項21号)又は不法行為に該
当するか(争点1・請求原因)
(2) 原告の損害の有無及びその額(争点2・請求原因)
(3) 原告の本訴提起の態様が不法行為となるか(争点3・抗弁)

しかし、第3の争点については、裁判所もほとんど触れていないので、概略を掴む目的であれば大きな問題はありません。
争点箇所だけではなく争点に対する判断の記載から争点を拾ってきてるようですね。

結論だけ説明されましたが具体的な金額などは分からなかったためこちらも質問してみました

請求内容を確認する

請求額はいくらで、裁判所が認めた金額はいくらですか?

原告が請求した金額は73万4620円でした(ページ0)。しかし、裁判所が認めた金額は5万2492円でした(ページ22)。

正解でした。

事件のポイントを聞く

ポイントになるのは第1の争点の違法行為等が認められるかどうかだと考えたので、そちらのポイントを聞いてみました。

争点1についての裁判所の判断は以下の通りです:

裁判所は、被告のアマゾンに対する申告行為が不正競争防止法(不競法)2条1項21号の不正競争行為に該当すると判断しました。また、被告には少なくとも過失が認められました。

被告は、本件各申告が単に画像の盗用の事実のみを申告するものであり、著作権侵害の事実を申告するものではないことから「虚偽の事実」を申告したとはいえないと主張しました。しかし、裁判所は、本件各申告の趣旨が著作権侵害の申告であると認め、被告の申告行為は、原告の営業上の信用を害する虚偽事実の告知であると判断しました。したがって、この点に係る被告の主張は採用されませんでした。

以上の判断により、裁判所は被告の行為が不正競争行為に該当し、被告に過失があったと結論付けました。

原告の主張に関する記載がなく被告の反論部分を中心に書かれているので若干分かりにくいのですが推測はできます。

虚偽の事実の申告とは?

何が虚偽だと判断されたのですか?著作権侵害はない画像だったという判断ですか?

裁判所は、被告がアマゾンに対して行った申告が虚偽であると判断しました。具体的には、被告が原告が被告の画像を無断で使用した、すなわち盗用したと申告した事実が虚偽であると裁判所は判断しました。

被告は、本件各申告が単に画像の盗用の事実のみを申告するものであり、著作権侵害の事実を申告するものではないと主張しました。しかし、裁判所は、本件各申告の趣旨が著作権侵害の申告であると認め、被告の申告行為は、原告の営業上の信用を害する虚偽事実の告知であると判断しました。

したがって、裁判所は被告が原告の画像を盗用したという申告が虚偽であると判断しました。この判断は、被告の画像が著作物であるかどうかとは別の問題であり、裁判所はこの点については明確な判断を示していません。

原告による画像使用は、盗用の事実はなく、正当な使用だったと認定されているのでしょうか?

裁判所は、原告が被告の画像を盗用したという事実を否定しました。具体的には、被告の画像が著作物とは認められないと判断した上で、仮に原告が被告の画像を使用したとしても、著作権侵害は成立しないと述べています。

さらに、裁判所は、原告が掲載した画像は被告の画像を盗用したものではなかったと認めました。これは、原告が自身のサイトに掲載した画像が被告の画像そのものであることを的確に示す証拠が存在しないという事情に基づいています。

したがって、裁判所は原告による画像使用を正当な使用と認定し、盗用の事実はないと判断しました。

被告の主張を確認する

被告は、その画像が自分のものだと主張していたのですか?

被告は、被告サイトにおいて、商品名・商品画像・商品の説明文を自ら作成・撮影したと主張しています。被告各画像については、商品の表面及び裏面を、商品の状態が視覚的に伝わるようにほぼ真上から撮影したものであると説明しています。また、被告は、被告各画像に係る著作権を有していると主張しています。

商品名についても、被告は自ら考えた商品名を付して販売していると主張し、被告サイト上に掲載された商品名につき著作権を有していると主張しています。

さらに、被告は、原告が被告各画像を被告の許諾無く盗用し、商品名及び商品の説明文においても大部分を盗用していたと主張しています。

質問を繰り返すことでポイントが見えてきました。

被告が、自分のサイトの画像を盗用されたとAmazonに申請し原告の出品を停止させたところ、原告はそのような事実がないと主張。
虚偽の事実で出品停止されたことから損害賠償請求をしたという内容だと捉えました。

全体的な説明から盗用の事実自体を否定するほか、商品画像なので、そもそも著作物ではないことから著作権侵害はありえないという主張だと捉えました。

損害額の認定を聞く

第1の争点については概略がつかめたので、第2の争点の損害が大幅に減らされてる内容を確認してみます。

争点2の損害について質問です。原告が請求した損害が、どのようなもので、結局、何の名目で一部が認められたのか説明してください

争点2では、原告が被告の行為により損害を受けたと主張しています。具体的には以下の3つの損害が挙げられています。

逸失利益:原告は、被告の行為により商品の出品が停止され、その結果として発生した損害を逸失利益として請求しています。具体的な販売個数や販売価格は証拠と弁論の全趣旨に基づいて算出されています。

対応人件費:原告は、被告への問合せや商品出品再開の申立て等の作業に要した人件費を請求しています。しかし、裁判所は、証拠上表れる作業内容等を踏まえ、原告における当該従業員に対する給与支払額等が現実に増加した等の事実は認められないと判断し、この部分の損害は認められませんでした。

弁護士費用:原告は、本件に係る一切の事情を考慮して、本件の弁護士費用相当額を請求しています。裁判所は、これを5000円と認めました。

以上の結果、裁判所は原告には、本件各申告により、逸失利益及び弁護士費用の合計額である52,492円の損害が生じたと認めました。

損害額の現象についてここまでのやり取りを見ると対応人件費の損害が大幅に削られたのかなと感じました。実は、ここまで判決文を一切見ずにやり取りをしていたのですが、確認のため元の判決文のPDFを見てみました。
金額の内訳は次のようなものでした。

損害賠償金73万4620円(逸失利益95万1200円、対応人件費14万3420円及び弁護士費用相当額50万円の合計額)

単純に弁護士費用の請求額が大幅に削られていたのが大幅減額の理由でした。
内訳をしっかり聞けばよかったですね。

対応人件費は項目自体が認められていないので仕方がないのです。
弁護士費用としては5000円しか認められていないので、ここが減額の大きい理由でした。

おそらく紛争の実態としては原告が被告のやり方を許せないとして赤字になってでも裁判を起こしたいと希望したものではないかと思われます。

紛争の経緯を図解(Show Me)

showmeのプラグインを使って紛争の経緯を図解してもらいました。
こちらのプラグインは内容を図にしてくれるものです。
早い段階で図解させれば理解が深まるでしょう。

この判決の前提事実とされている紛争の経緯をフローチャートで図解してください

ちょっと見にくいですが概略を掴むには十分でしょう。

これは、色んなプラグインと併用すると便利なプラグインですね。

判決理由を見ても、画像等が独自のものとはいえず著作物と認められないという認定、画像を盗用したものではなかったとの認定がされていました。これにより虚偽の事実を申告したものとして不正競争行為に該当するとしています。

今回のやり取りでは内容に間違いはなく判決文の概略を十分につかむことができました。

十分に合格点でしょう。


これが事前にプロンプト入れた効果なのかどうか分かりませんがもう少し検証を続けてみたいと思います。

ミキの虚偽申告、損害賠償相談室

最後におなじみの会話バージョン。
趣味:ゼルダ

ミキ
ミキ

こんにちは、弁護士さん!今日はあの、裁判の話を聞きたいんだけど、それって難しくない?

弁護士
弁護士

こんにちは、ミキさん。裁判の話は少し難しいかもしれませんが、一緒に考えていけば大丈夫ですよ。

それなら安心!それじゃあ、あのね、最近聞いた話でさ、なんかアマゾンで商品を売ってた人が、他の人に画像を盗用されたって言って、裁判になったんだって!

ああ、それは最近の有名な裁判ですね。その裁判では、原告が被告の画像を使用したと被告が主張しました。しかし、裁判所はその主張を否定しました。

えー、それってどういうこと?

被告は、自分の画像が著作物であると主張しましたが、裁判所はその画像が著作物とは認められないと判断しました。つまり、原告が画像を使用したとしても、それは著作権侵害には当たらないということです。

なるほどね。でも、それってちょっとゼルダの冒険で言うところの、リンクがトライフォースを手に入れたけど、それがただの石だったっていう感じ?

(笑)そうですね、その比喩はうまく当てはまるかもしれません。

でも、それだけじゃなくて、原告は被告の行為で損害を受けたって言って、お金を請求したんだよね?

その通りです。原告は、商品の出品が停止されたことによる逸失利益、対応にかかった人件費、そして弁護士費用を請求しました。しかし、裁判所はそのうちの一部しか認めませんでした。

えー、それってちょっとガノンドロフに勝ったけど、プリンセスゼルダがすでに他のヒーローに助けられちゃったみたいな感じ?

(笑)ミキさん、その比喩はとても面白いですね。まさにその通り、原告は一部の勝利を得ましたが、全てを手に入れることはできませんでした。

ふーん、でもそれって、結局、みんなが思ってたよりも裁判って難しいんだね。

そうですね、裁判は一見すると単純そうに見えても、実際には複雑な問題が絡んできます。しかし、それが法律の面白さでもありますよ。

ほんとに?でも、私にはゼルダの冒険の方が面白そうだな!

(笑)それもまた一つの真実ですね。でも、ミキさんが法律についてもっと知りたくなったら、いつでも話を聞きに来てくださいね。

うん、ありがとう!それじゃあ、次はゼルダの冒険の話をしようね!

それは楽しみにしています、ミキさん。

コメント

タイトルとURLをコピーしました