『糖質リスク』に学ぶ最新の血糖値スパイク対策

雑談

弁護士石井です。

個人的に、2025年は血糖値に振り回された年でした。

10数冊の血糖値関連本を読みましたが、今回の『糖質リスク』が最後の1冊になりそうです。

何でも著者は、血糖値をタイムリーに測定できるCGMを3か月つけて変動を研究したとか。

当然、患者のデータもあるでしょうから、非常に参考になる話です。

過去の知識と、自身の体験で感じていた疑問も解消されたので血糖値分野ではオススメの一冊です。

同年代の人に会うたび、CGMを刺して、血糖値スパイクを測定しておいた方が良いと伝えているのですが、誰もやりませんね(笑)。

私の記録は以下を。

食後血糖値スパイクの測定レポートDexcom G7

続・食後血糖値スパイクの測定レポートDexcom G7

 血糖値スパイクという「見えない敵」

「血糖値スパイク」という言葉、最近よく聞きますね。 2025年に自分が糖尿病予備軍とされたからだけでなく、テレビの報道も増えたと聞きます。

血糖値スパイクは、食後に血糖値が急上昇し、その後に急降下する現象です。

健康診断の空腹時血糖値が正常でも、食後の短時間だけスパイクが起きているケースが多く、発見しにくいのが厄介です。

血糖値スパイクが起きているかを調べるには、CGMをつけて食後血糖値の変動を図るのが一番良いでしょう。

血糖値の参考基準

複数の血糖値本を読んだところ、危険とされる基準が微妙だと感じていたのですが、この本では、しっかり書かれていました。

危険ライン: 食後2時間値が 140mg/dL を超えている
理想ライン: 食後1時間ピークで140mg/dL、2時間で120mg/dL
究極の目標: 研究データによる最適なカットオフ値は 88mg/dL 以下

88mg/dL以下というのはかなり厳しい基準ですが、ここを目指すことが一つの目標になりそうです。

また、寝る直前の血糖が 100mg/dL 以下であることが望ましい。

やはり目標は明確な方がクリアできそうに感じます。

なぜ怖いのか:細胞レベルで起きる3つのリスク

血糖値スパイクは、単に「太る」とか「眠くなる」だけの話ではありません。 

体内で起きていることは、もっと深刻なダメージです。

① 酸化ストレス(細胞のサビ)

食事で摂った糖が処理しきれないと、ミトコンドリアで「活性酸素(フリーラジカル)」が過剰発生します。 これがDNAや細胞膜を傷つけます。いわゆる「酸化」です。 毎日スパイクを起こす生活は、細胞を日々サビつかせ、老化を加速させていることになります。

② 糖化(体の焦げ)

余分な糖がタンパク質と結びつき、AGEs(終末糖化産物)という老化物質を作ります。 これはパンが焼けて褐色になるのと同じ反応です。 皮膚ならシワ、血管なら動脈硬化の原因になります。血管年齢が実年齢より高いと言われたら、これが原因かもしれません。

③ 血管への直接的ダメージ

食後の高血糖だけで、血管の内皮機能(FMD)が一時的に低下することが実験で確認されています。 スパイクのたびに血管のしなやかさが失われ、心筋梗塞や脳卒中のリスクに一歩ずつ近づいていくわけです。

炭水化物だけじゃない「共犯者」たち

血糖値対策といえば「糖質制限すればいいんでしょ?」と思いがちですが、実はそう単純ではない様子。

本の中では、他の要因も、血糖コントロールを乱す「共犯者」とされています。

・ストレス

ストレスを感じると分泌されるコルチゾールは、血糖値を上げるそう。

仕事でストレスフルな状態だと、夕方に甘いものが欲しくなるのは、脳の報酬系が刺激されているからです。

・ 睡眠不足

睡眠不足は食欲を増進させるホルモン(グレリン)を増やし、満腹ホルモン(レプチン)を減らします。

寝不足の日にジャンクフードが食べたくなるのは意志が弱いからではなく、ホルモンのせいです。

・腸内環境

腸の炎症(リーキーガットなど)があると、インスリンの効きが悪くなります。

腸活が重要なのはここでも同じです。

腸活は10年前からやっていたのですが、血糖値スパイクは起きていました。やっていなかったらもっと悪かったのだろうか。

血糖値スパイク対策

では、どう対抗するか。 本の中でも対策が色々と書かれています。

すでに導入しているもののほか、新しい発見もありました。

① 食べる順番

野菜やタンパク質を先に食べ、炭水化物を後にする。 これだけで、食後血糖の上昇を大幅に抑制できるというデータがあります。

食物繊維がバリアになり、インクレチン(GLP-1)というホルモンの分泌も促されます。

カーボラストと言われる方法で、どこにでも書かれています。

② 冷やしご飯(レジスタントスターチ)

 炊いたご飯を冷やすと、デンプンが消化されにくい「レジスタントスターチ」に変わります。 おにぎりや冷やし茶漬けなどは、炊きたてご飯より血糖値が上がりにくいようです。

ただ、私の場合、コンビニおにぎり1個でも血糖値が上がることが判明しており、コンビニ程度の冷やし方ではレジスタントスターチ量が足りないのかなと考えています。

本の中で紹介されているのは
炊いた白米を4℃で24時間冷却 → 再加熱
炊きたてご飯より食後血糖の総上昇量が低下というデータ。

レジスタントスターチは 1〜25℃で増加
老化アミロースは 117〜125℃でも安定
再加熱しても、完全には消化されやすい形に戻らないとのこと。

軽く温めるくらいなら許容されそう。このあたりを整理してくれていて良かったです。

③ お酢の力

食前にお酢を大さじ1杯。 酢酸が消化酵素の働きを抑え、筋肉への糖の取り込みを助けてくれるそう。

著者は、リンゴ酢をやたらと勧めています。

酢については、血糖値本の一部では触れられているのですが、導入はしていなかったので試してみるかな。

その他、海藻は水溶性食物繊維が豊富で低糖質な優秀食材とも紹介されています。

④ 運動のタイミング

運動が血糖値対策で有効なのはどこにでも書かれています。

さて、その運動のタイミングは、データによると「ピークを迎える前」が重要とのこと。

血糖値ピーク予想時間の20分前から運動をすることで、ピークそのものを低く抑え、必要なインスリン量を減らせるとのこと。
食後ダラダラせず、早めに散歩などを開始するのが良さそうです。

ピークを迎えてから運動しても、AUC(総血糖量)はあまり下がらない らしい。なるほど、これは重要な話。

自分の血糖値変動データを見て気になっていたのが、食後の運動により血糖値が下がるものの、特に糖質摂取しなくても、血糖値が再上昇する現象。

この点についても解説されていました。

「一旦運動で血糖値のピークを抑えても、その後再び血糖値が上昇し始めます。
・・・ それに対して運動群はピークのインスリン量が少ないため、血糖コントロールが緩やかになり、食事の糖質が食後段階的に吸収されるにつれてインスリン分泌が都度コントロールされます。つまり食後運動を行うと、血糖のピークを迎えるタイミングが後ろにずれることになります。」

トータルとしては、ピークを迎える前に運動を行い、ピークそのものを下げる戦略が有効ということらしい。

このピークも自分の特性があるから、CGMをつけて、まずは何も対策せずに自分の血糖値の動きを見るのが重要と言っています。

血糖値へ悪影響の他の問題行動

他に気になった点をいくつか紹介しておきます。

人工甘味料

人工甘味料なら大丈夫というわけでもない。

研究によると、砂糖入り飲料を水やお茶に変えるのは有効ですが、人工甘味料に変えても糖尿病リスク低減効果は見られないそう。

今のところ、安全と言われているステビアなどの人工甘味料でも、今後はどうなるかわからず、勧めないとのこと。

うーむ。ステビアに切り替えたんですがね。

アルコールはやっぱりダメっぽい。

アルコールには一時的に血糖値を下げる効果はみられます。

が、アルコール摂取後は数日間、血糖代謝に悪影響を与える可能性があるため、毎日の飲酒は避けたほうが無難とのこと。

他の器官に影響を与えるからやっぱりダメらしい。

糖質制限食の落とし穴

糖質→タンパク質への完全シフトにも注意

極端な糖質制限をしてタンパク質を取りすぎてもまずいらしい。『糖質疲労』なんかでは、糖質を抑える代わりに肉などは気にせず食べて良いと書かれていたような気もしますが・・・。

たんぱく質の大量摂取でもインスリンは過剰分泌されるとのこと。

「血糖さえ上げなければOK」という発想は、インスリンというもう一つの軸を無視していると指摘されています。

糖質制限の落とし穴として、腸内環境の機能低下があげられています。

「 久しぶりに主食を食べたり、いきなりお菓子やケーキを食べたりした際、いつも以上に血糖値が跳ね上がる現象が起こる基盤ができてしまいます」とのこと。

血糖値を意識しすぎた食事をすると、免疫的な力、対糖質の力が落ちるんじゃないか?と医者に質問したことがあります。

そのときは、そういうことはないと言われました。

ただ、糖質制限をした際の食事内容によっては、腸内環境が低下することで、糖質に弱くなるということはありそうです。

本の中では、糖質制限によって、食物繊維の大幅な不足、加工食品の比率アップによる腸内環境悪化という文脈で触れられています。

まあ、ということは加工食品を控えていて、食物繊維を多めにしていれば大丈夫なような気がしますね。

まとめ

というわけで、血糖値界隈でも、かなりマニアックな、気になるところに突っ込んでくれた本といえるのではないでしょうか。

2025年はCGMを2回に渡り装着し、自分の体でのテストはやり尽くした感もあるのですが、こういう本を見ると、また試したくなりますね。

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