弁護士石井です。
本厚駅周辺の夜の店では、ぼったくりに注意してください。
本厚木駅でのぼったくり被害内容
昔からそのような話はあったのですが、最近、相談が増えている印象です。
しかも、それぞれが違う店。
そして内容はほぼ一緒。
被害金額として、一晩で100万円前後の代金まで決済させられている人が多いです。
複数のクレジットカードで何回かに分けて決済されている事例がほとんど。
クレジットカードがない人はATMに連れて行かれて、預金から出金させられている人も。
判断能力がある状態で、そのような請求を受けた場合には、とりあえず警察を呼んで支払を拒絶し、業者が主張する代金の支払義務に関しては民事訴訟で判断してもらうのが良いでしょう。
しかし、このような相談に来る人のほとんどが泥酔していて記憶にない。カードで決済して、翌日とか数日後に相談に来る。
そのような人の大部分は、過去にそこまで泥酔した経験がないと言っています。
店に入ったきっかけは客引きです。
偶然にしては出来過ぎな気がします。本厚木にだけ、泥酔しやすい酒が出回っているのでしょうか。
ぼったくり店への民事裁判対応
このようなぼったくり業者に対して裁判を起こすケースもあります。
裁判を無視され、事業譲渡等がされ、差し押さえをしても回収につながらなかったケースもあります。
また、民事裁判でも、正当な支払いであると争ってくるケースもあります。
裁判例では、代金・飲酒状況から違法性が認められているものもありますが、回収までのプロセスは簡単ではないです。
クレジットカード会社の段階で止められれば良いですが、なかなかそうもいかず、決済を終えてしまっていると、業者相手の裁判しか解決手段がないということも多いです。
業者側の主張は当然ながら自分で注文したというもの。
そして、何人もの女性がついたので、その女性たちにも飲み物を振る舞った、その代金が含まれているという主張です。
近隣市から本厚木に来て、このようなぼったくりに遭い、「厚木がこんなに怖いとは思わなかった」と感想を残していく人も出てきています。
印象、悪くなってます。
厚木市の客引き防止条例の内容
一応、厚木市には、客引きが原因だとして、
厚木市客引き行為等防止条例
という規制があります。
第3条 何人も、公共の場所において、客引き行為等をしてはならない。
違反者に対しては、指導→勧告→公表
ができることになっています。
最終的には過料も。
(過料)
第10条 第6条第1項又は第2項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、50,000円以下の過料に処する。
一人で100万円の売上が出ますからねぇ。
条例では、特に必要性が高い地域を特定地区と指定できるとされています。
第5条 市長は、公共の場所における客引き行為等を防止する必要があると特に認める区域を客引き行為等防止特定地区(以下「特定地区」という。)として指定することができる。
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/material/files/group/33/tokuteitiku.pdf
過去に本厚木駅でのぼったくり被害で相談対象となった、全店舗がこの範囲内です。
あ、一応、ジン法律事務所弁護士法人が入っている雅光園ビルも、ギリギリ特定地区に入っていました。
客引きは諦めます。
客引きとは
条例により禁止されている客引き行為等は、次のようなもの。
(4) 客引き行為等 次に掲げる行為をいう。
ア 指定営業の客となるように行う勧誘
イ 指定営業の情報の提供に係る勧誘
ウ 指定営業又は性的好奇心をそそる写真、映像等を撮影するための被写体となる行為の役務に従事させる目的で行う勧誘
エ 拒絶の意思を示している者に対し、執ように行う勧誘(アからウまでに掲げる勧誘を除く。)
オ アからウまでに掲げる勧誘を行う目的で、うろつき、とどまり、又はたむろする行為
カ アからオまでに掲げる行為のほか、市民に不安を与え、又は迷惑をかける行為であって、規則で定めるもの
ア~ウで規制されている指定営業の定義。
(2) 指定営業 次に掲げる営業をいう。
ア 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第4項に規定する接待飲食等営業又は同条第5項に規定する性風俗関連特殊営業
イ 専ら異性をして人の身体に接触して行う役務又はこれを仮装したものの提供を行う営業
条例による規制件数
タウンニュースによれば、令和6年5月にも、市長や警察署長がパトロールしてくれているみたいですね。
この後にも、ぼったくり相談が発生しています。
こちらの情報だと、昨年は指導が45件、勧告10件、過料処分が4件あったとのこと。
https://www.townnews.co.jp/0404/2024/06/07/736835.html
「公表」は件数が出ていないですね。
過去には「公表」までされたという報道もあったのですが、現在の厚木市のウェブサイトでは公表情報は見つけられませんでした。
複数被害が申告されたら、さっさと公表を促すようにしないと、厚木市の印象は下落し続けてしまうかもしれません。
被害回復をストレートに考えるなら民事裁判となるのですが、店舗の経営主体によっては、風営法を含め、行政側の対応を求めることも並行して検討すべきかもしれません。
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