自転車で運転代行という記事に驚く

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弁護士石井です。

改正道路交通法による自転車の飲酒運転罰則が施行から1年を迎え、兵庫県内の摘発件数が183件に達したという報道がありました。

摘発増える「飲酒自転車」、貸しても客に酒を出してもアウト…居酒屋「自転車の客にも代行使うよう呼びかけ」
【読売新聞】 自転車の酒気帯び運転に罰則を新設した改正道路交通法が施行され、1日で1年となった。兵庫県警によると、県内の摘発件数は昨年11月から今年9月末までで183件に上り、約4割は事故を起こして発覚していた。死亡事故も起きており

自転車に対する規制は、関西方面で強くなっている印象がありますね。

改正道路交通法による飲酒自転車規制の概要

昨年11月に施行された改正道路交通法は、自転車利用者に対する飲酒運転規制を大幅に強化しました。これまでの法律では、正常な運転ができない恐れがある「酒酔い運転」のみが罰則対象でしたが、今回の改正では「酒気帯び運転」にも罰則が新設されたのです。

新しい罰則の内容は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。これは自動車の飲酒運転と同等の厳しさとなっており、「自転車だから大丈夫」という甘い認識は通用しなくなったということです。

この規制が導入された背景には、自転車による飲酒運転事故の増加と、その深刻さが社会問題化したことがあります。自転車は手軽な交通手段ですが、飲酒した状態での運転は、ドライバーと同じく極めて危険だということが認識されるようになってきたわけです。

兵庫県の摘発状況

兵庫県警の発表によると、施行から9月末までの11か月間で183件が摘発されています。月平均で約17件ですが、摘発数の推移を見ると、初期段階では月10件未満だったものが、2月以降は20件台で推移するようになりました。

この増加傾向は何を示しているのか。一つの見方は、啓発活動が進むにつれて、警察の取り締まり体制が強化されたということです。同時に、市民の間で飲酒自転車の危険性の認識が広がり、通報や相談が増えている可能性もあります。

興味深いのは違反者の年代構成です。40歳以上が約8割を占めており、50歳代が50人で最多、70歳代が34人と続いています。一方、10~20歳代はわずか25人にとどまっています。つまり、飲酒自転車は若者の問題ではなく、むしろ中高年の問題だということです。

この傾向は、高齢になるほど「自転車だから大丈夫」という認識が残存していることを示唆しています。若者は、自転車を最初から飲酒したら乗らないものという認識をしているのに対し、中高年は、昔は大丈夫だったから、みたいなノリで惰性で続けてしまっている可能性がありそうですね。

なお、注目すべき点は、摘発の約4割が事故を起こしてから発覚しているとのこと。これは、飲酒自転車の危険性が単なる「かもしれない」ではなく、実際に事故につながっているということを意味しています。また、残りの約6割は、事故を起こしていないのに発覚していることになりますね。

夜間に普通に自転車に乗っていたら飲酒検査とかされる感じでしょうか。

自転車の運転代行サービス?

記事の中では「居酒屋を営む男性が、自転車で来るお客さんにも代行運転を使うように呼びかける」という記述がありました。

自転車の運転代行?

初めて聞きました。

AI検索で調べてみましたが、クラウドファンディング企画やアイデアレベルであり、ビジネスでは確認できないとの回答でした。

代行するとしたら、基本的な仕組みは、自動車の運転代行と同じで、飲酒した客の自転車を、専門の運転手が操作して目的地まで運ぶというものでしょうか。あるいは、客と自転車を一緒に運送する方式もあるかもしれません。自転車を代行業者がこいで、所有者は車だとしたら、到着時間に差が出ますね。

そうすると、自転車自体も合わせて車で運ぶことになりそうです。自転車を載せられる軽トラとかでやるビジネスでしょうか。

自転車を置いてタクシーで帰り、後日、取りに来る方が良いようにも感じます。

居酒屋の責任──車両提供と酒類提供罪

改正道路交通法では、単に飲酒自転車を運転する本人だけでなく、それを助長する者にも罰則が設けられています。

具体的には、以下の二つの行為が対象です。

まず一つ目は「車両提供」です。飲酒した人に対して、自転車を貸す行為が罰則対象になります。これは、自動車の飲酒運転罰則における「車両提供罪」と同じロジックです。

二つ目は「酒類提供」です。自転車で来た客に対して酒を提供する行為が罰則対象になります。これは、居酒屋や飲食店にとって、相当に注意が必要な規定です。

車については注意していた店舗も、自転車については気にしないかもしれません。

例えば、客が自転車で来店した場合、店側は「このお客さんは自転車で来たな」と認識しながら酒を提供することになります。その後、客が自転車で帰宅する際に、仮に事故を起こしたり、警察に摘発されたりした場合、店側も法的責任を問われる可能性があります。

店舗の前に駐輪とかされた場合には、注意が必要でしょうが、駐輪場に停めてきたりしていたら、わかりにくいですね。

記事でも、9月末までに摘発例がないとのことです。

それでも、法律としては存在しているので、居酒屋経営者は認識しておき、最低限、自転車で来たと知ってしまったら飲酒を提供しないこと、あるいは運転代行の利用を勧めるっていう話なのでしょうね。

自転車規制の強化

お酒がらみ以外にも、自転車への規制はさらに強化されていきますので、運転する人は意識していきましょう。

いつまで自転車に乗れるかな・・・

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