マルチ商法のトラブル被害に遭いやすい若者

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弁護士石井です。

マルチ商法に関する報道も、毎年、尽きませんね。

もうすぐ4月。成年年齢も引き下げられ、進学時にマルチ商法で借金させられる事件が増えそうですので、注意喚起の記事を出しておきます。

マルチ商法に関する会話

マルチ商法ってどういうものなんですか?

マルチ商法とは、商品の販売促進を目的とした販売方式です。自分が商品を購入し、それを自分の友人や知人に売り、その売り上げに応じて報酬を得ることができます。

それって何か問題があるの?

はい、実はマルチ商法には問題点があります。まず、ピラミッド構造による被害があります。上位の参加者が下位の参加者を勧誘することで成り立っているため、下位の参加者が報酬を得られないという被害が発生することがあります。また、高額な商品購入を強要されたり、偽りの情報や虚偽の広告による勧誘があったりすることもあります。

そうなんですね。では、マルチ商法と普通の販売方法を見分けるにはどうしたらいいですか?

マルチ商法を見分けるには、参加者に新たな参加者を勧誘することが求められたりする販売方式であるかを確認しましょう。参加費用や商品購入費用が高額であったり、上位の参加者から勧誘されたり、裏付けのない誇大広告があったりする場合は、マルチ商法かどうか以前に危険です。

そうなんですね。そもそもマルチ商法は違法なのですか?

マルチ商法については、「特定商取引に関する法律」で色々と規制されています。商品の販売等を伴わないねずみ講は違法ですが、マルチ商法については直ちに違法というわけではなく、様々な規制がされています。その規制に違反していれば違法となります。

なるほど、ありがとうございます。

マルチ商法とは?

マルチ商法とは、消費者が会員になって商品やサービスを購入し、さらに新規会員を勧誘することで報酬や割引などの利益を得ることができる販売形態です。

法律上は「連鎖販売取引」と呼ばれ、ねずみ講(無限連鎖講)のような犯罪行為とは区別されています。

しかし、マルチ商法とねずみ講の間には法律上の線引きがあるだけで、両者は極めて近いものとみることができます。
形式的には、商品の販売があることでねずみ講とは違うような契約であっても、実質的には商品が無価値で、ねずみ講と変わらないものもあります。マルチまがいの契約とも言われます。

マルチ商法の特徴

マルチ商法の特徴は、以下のような点にあります。

会員同士が紹介者と紹介された者という関係を持ち、階層的な組織(ネットワーク)を形成します。
会員は自分が購入した商品やサービスだけでなく、自分が紹介した会員やその下位会員が購入した商品やサービスに対しても報酬や割引などの利益を得る仕組みです。

会員は自分のネットワークを拡大するために積極的に新規会員を勧誘します。その際には高収入や自由な時間などのメリットを強調したり、契約時に高額な入会金や在庫購入費用を要求したりすることがあります。

マルチ商法の例

マルチ商法には様々な種類がありますが、代表的なものとして以下のようなものが挙げられます。

健康食品や化粧品などの商品を販売するタイプ
教育関連や投資関連などのサービスを提供するタイプ
インターネット上で仮想通貨やポイント制度などを用いるタイプ

このようなマルチ商法は、下位の会員を増やそうと勧誘が拡大していくことになります。ピラミッド構造になっています。会員が増え続けることが利益の前提となっていますが、会員には限界があり、いずれ勧誘できなくなります。

ピラミッド構造による被害は、下位の参加者が報酬を得られない点にあります。

ピラミッド構造

このようなピラミッド構造では、いずれ破綻してしまうため、規制されているのです。
ねずみ講では、単純にお金のやりとりしかないため犯罪とされています。
マルチ商法は、犯罪ではないものの、規制されているものです。

マルチ商法に関するトラブル

マルチ商法は若者を中心にトラブルが多発しています。
国民生活センターによると、マルチ商法に関する相談件数は毎年1万件前後となっています。

うち、20代が契約者となっているケースが相当高い状況が続いています。

また、インターネット上で仮想通貨やポイント制度などを用いた新しい形態のマルチ商法も増加しており、被害額も高額化しています。

では、なぜ若者はマルチ商法に引っかかりやすいのでしょうか?

その原因として以下のような点が挙げられます。

友人や知人からの勧誘に断りづらい
将来への不安や希望から高収入や自由な時間などのメリットに惹かれる
契約内容やリスクを十分に理解せずに判断する
マルチ商法の実態や問題点を知らない

大学などの新しいコミュニティ、人間関係から勧誘を受けて、断れずに契約をしてしまうことが原因と考えられます。
また、実態を知らないのは、勧誘される側だけではなく、勧誘する側にも当てはまります。
マルチ商法では、勧誘する側も悪意がなく、善意で勧誘しているケースもあるため、やっかいなのです。

大学での勧誘

マルチ商法の対策

では、どうすればマルチ商法から身を守ることができるのでしょうか?
その対策方法として以下のような点が挙げられます。

勧誘された場合は冷静に判断し、契約前に必ず契約書や資料を確認する
マルチ商法では、法律により書面交付義務があります。
書類が渡されない場合には、法律に違反していることになりますので、警戒しましょう。

契約後でも20日以内なら無条件で解約可能(クーリングオフ)だということを覚えておく

法律的な救済方法として最も使いやすいのがクーリングオフです。
その期間は20日です。
法的に有効な書面を交付されてから、この期間はスタートしますが、契約から20日以内にクーリングオフできるなら、そのほうがトラブルになりにくいです。

1人でクーリングオフに動きにくいのであれば、早めに信頼できる第三者(家族、消費生活センター等)に相談するようにしましょう。

消費生活センターであれば、その業者の取引の仕組みが問題であるのか、また、他のトラブルがありそうかなど教えてもらうことができます。

マルチ商法から抜け出すには

マルチ商法から抜け出すには、人間関係も問題になります。
お金の面でいえば、法的にはクーリングオフができますが、狭い人間関係の中での勧誘だと、その人との関係も問題になります。
そのような勧誘をしてくる人間関係からは離れる、連絡先をブロックするなどの決意も必要になります。

ブロック

マルチ商法に関するQ&A

Q: マルチ商法に参加した場合、どのような被害に遭う可能性があるのでしょうか?


A: マルチ商法に参加することで、商品購入費用などで借金すれば負債を抱えることになります。また、仕組み上、説明されたような報酬を得られないことは多いです。さらに、自分が下位会員から利益を得ようとすると無理な勧誘をすることになり、友人を失うなど、人間関係に問題が出てしまうこともあるでしょう。

Q: マルチ商法とネットワークビジネスは同じものでしょうか?

A: マルチ商法とネットワークビジネスは、一部重なる部分がありますが、全く別のものです。ネットワークビジネスは、商品やサービスを販売することが主目的であり、ピラミッド構造による勧誘や報酬が中心ではありません。

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