NHKの受信契約

NHK受信契約 ニュース

弁護士石井です。

NHK受信契約

平成27年4月15日の松戸簡裁判決が話題になっています。

報道によれば、NHKの受信料請求裁判で、契約書の筆跡が、被告の男性のものでも家族のものでもなかったということで、受信契約を締結したとは認められないと判断したとのことです。

NHK、本人に無断で受信契約か 11年間の支払い請求を棄却
NHKが千葉県松戸市の男性に対し、11年間分の受信料18万円の支払いを求めた訴訟の判決で、松戸簡裁は「男性が受信契約を締結したものとは認められない」として請求を棄却した。

この判決をみて、「受信料を払わなくて良くなった」という声もありますが、一つの簡裁判決ですので、そこまで言い切るのは危険です。

 

NHKの受信料裁判といえば、平成25年6月27日の横浜地裁相模原支部の判決では、裁判所の判決をもって契約成立、遡って受信料支払義務がある、とされました。

それ、契約っていうのか。

NHKの広報によると、その控訴審では、さらに、NHKが契約を申込み、相当期間が経過すれば契約が成立すると判断されたようです。

https://www.nhk.or.jp/pr/keiei/otherpress/pdf/20131030.pdf

しかし、その後、別事件で、東京高裁は、契約成立には視聴者の承諾が必要と判断しました。

NHK受信契約には視聴者の承諾必要 東京高裁で異なる2つの判断、どうなる?
NHKが受信者に受信料の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(下田文男裁判長)が2013年12月18日、「NHKの契約申し込みと、受信者の承諾の意思が一致しなければ受信契約は成立しない」との判断を示した。受信料支払いに関する訴訟をめぐっては、これより前には、ほぼ正反対の判決も出ているなど社会の関心は高く、今後の訴...

このように、高裁の判断はわかれています。

 

今回の松戸判決は、そんな状況で、個別の契約を証明しようとしたところ、証明できなかったという事件ですね。

法律では、視聴者に契約義務を認めています。受信料の支払義務を直接は認めていません。契約に基づき、支払義務が発生するのです。

そのため、①契約をしている視聴者に対しては受信料の請求を、②未契約の視聴者に対しては、契約しろという請求をするのが筋です。

 

①の際に契約を証明できなければ、請求が棄却されるのは仕方がありません。
ただ、契約の証明自体は、契約書によらなくても(口頭でも)良いものが多いです。諾成契約と呼ばれます。

というわけで、契約書に署名していないから、受信料払わなくていいぜー、と言い切るのは危険かと思います。

 
厚木の弁護士事務所 相模川法律事務所

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