後見制度支援信託

後見制度支援信託 家事

弁護士石井です。

先日、後見制度支援信託について学ぶ機会がありました。

ざっくり言えば、裁判所が、
「家族の後見人は、横領しそうだから信用しない!」
「弁護士?専門家の後見人も横領しそうだから信用しない!」
と言い、
「やっぱり、多額の貯金は銀行に任せるべきだ。簡単に引き出せないようにすべきだ」
と考え、信託制度を使って、財産の大部分を成年後見人が簡単には使えなくなるというものです。

後見制度支援信託

 

財産の大部分が預貯金の成年後見事件で、日常的に使う部分だけを除いて、大部分は銀行に信託し、裁判所がOKを出さないと使えないようにするのです。
日常的に使う部分は、収入だけで足りない場合には、信託した財産から定期的に送金される仕組みを作ります。裁判所は、この信託制度を使う範囲をだんだん広げています。
細かい基準は、各地域で違うのですが、
「3000万円以上の財産」→「1200万円以上の財産」
というように、以前よりも少ない財産の人も、対象になってきています。
東京ではもっと広くなっているようです。

「銀行はやっぱり安心だぜ」
「この制度を使えば、後見人の監督もラクだぜ」
「どんどん広げようぜ」
というスタンスなわけですね。

ほら、目の前に家族のお金があったら、「車くらい買ってもいっか」って気持ちになる人がいるわけですよ。
弁護士だって、経営不振のときに、「少しだけここから家賃を払おう」って気持ちになる人がいるわけですね。
場合によっては、家賃じゃなくて、クラブで豪遊する金かもしれないけど。

まあ、そんな事件がなくならず、裁判所も責任問題になるわけで、こういう制度を広げていこうというスタンスになったのです。

 

成年後見制度を利用しようとお考えのみなさまは、
「後見人になったら、親の金を使いたい放題じゃ-」
とか、悪いこと考えて申立をしても、ムダですので、頭に入れておいてくださいね。

誰を後見人にするかは裁判所が決めますし、今回の信託制度が拡大していくでしょうから、そんな悪さができる余地はなくなっていきます。

そんな悪いことを考える人は、ごく少数だと思いますが、そんな人たちによって、面倒な制度変更が出てくるのです。

成年後見申立をお考えの方は、頭に入れておきましょう。

厚木の弁護士事務所 相模川法律事務所

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