名義財産の帰属認定をする際の5つのポイント

名義財産の帰属認定 相続

弁護士石井です。

「名義財産の帰属認定」という本を読みました。

 

判例・裁決例にみる名義財産の帰属認定
判例・裁決例にみる名義財産の帰属認定 峰岡 睦久

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本自体は相続税の際に問題となる名義財産を取り扱ったものです。
この問題は財産の形式的な名義人と実質の持ち主が違う場合に出てきます。

相続税の際に問題になるのは、相続人名義の財産について、亡くなった被相続人のものではないか、ただ単に相続人の名義を借りた財産ではないかと税務署等から指摘されるケースです。

相続税以外の場面でも、遺産分割協議で、相続人名義の財産が遺産分割の対象となる遺産に含まれるのではないかと争われるケースも多いです。

また、自己破産や個人再生等の倒産手続きでも、名義と実質の異なる場合に破産者の財産であるのかどうかが争われるケースも多いです。

 

今回の本では、名義財産を特定するためのポイントとして5つ挙げています。
原資、
管理運用、
果実の取得、
名義人との関係、
名義人になった経緯
の5つです。

原資については、誰がその財産のお金を出したのかという点がポイントになります。

財産の名義人がそもそも収入があるのかどうかなどが問題になります。
また収入がない場合に、被相続人から贈与されたと主張することもありますが、そのような動機や、契約書があるのかどうかなどが問題視されるケースがあります。

本の中では贈与について、贈与契約書を作って公証役場で確定日付をとっとおくことを勧めています。

また「名義人になった経緯」では預金口座の場合には開設者が誰なのか、預金開設時の書類の筆跡は誰のものなのかなどが調べられたりします。
印鑑についても誰の印鑑が使われていたのかなどがポイントになります。

相続の遺産分割の際にも問題になりやすいですが、直前の出金が問題視されるケースもあります。
亡くなる直前に預金口座からお金を出していた時に、その出勤されたお金も遺産になるのではないかという争いです。

遺産分割調停等では、この点について相続人間の協議ができなければ、別途民事訴訟等で争ってくれと言われることが多いです。

相続税の税務調査の中では、この直前の出金を問題視して出金額をそのまま相続財産と認定すると言うケースも多いようです。
税務署ではなく、遺産分割協議の中では、出金者が誰だったのかを特定しなければその人に対する請求ができないケースもありますので色々と調査が必要です。

本の中では、預金以外にも株式や保険、不動産等の名義財産についての紛争も取り上げられているので参考になるでしょう。
基本的には、相続税を取り扱う税理士向けの本であるとは感じましたが、弁護士が遺産分割協議をしていく中でも参考になる文献です。

相続争いで問題になっている人はチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

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厚木の弁護士事務所 相模川法律事務所

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