弁護士石井です。
『幸せとお金の経済学』という本を読みました。
最近の借金相談、特に個人再生の相談で感じる問題が書かれていました。
見栄支出
車とか、家とか、服とか、教育費とか。
ほかの人と比べて、自分の方が上だと安心する。
そのために支出してしまうもの。
でも、上には上がいると、際限なく支出が続き、幸せを感じられなくなってしまう。
序文に出ていた金森さんの事案が本質を突いています。
奥さんに350万円の腕時計をプレゼントしたそうです(この時点で異次元)。
奥さんは、その時計をして保育園の送り迎えをしたところ、ママ友が3000万円以上の時計をしてきて、一気に幸せ感が吹っ飛んだという話。
どんな保育園かちょっとだけ見学に行きたい。
「じゃあ、もっと上を」となると、幸せを感じられなくなってしまう。
個人再生の依頼をしてくる人の中には、相当な収入がある人も多いです。
公務員や上場企業にお勤めの方など。
なのに、1000万円を超える借金を負ってしまい、返済困難で、家を残したいために個人再生を使うことになる。
本の中では、思考実験として、「実際にはほとんどの人が、絶対的なサイズは小さくても、相対的には大きな家が持てるBの世界を選ぶ」という例が紹介されています。
もし自分が3000平方フィートの住宅に住み、他の人たちが4000フィートの住宅に住んでいれば、不快に感じるはずです。
ところが、支出については、このように、相手と比べてどう感じるか、相対的な内容のほかに、絶対的な幸せを感じる支出があります。
休暇、愛情、健康、自由など。
そっちにお金を使う方が、幸せな気分になれるのです。
本の中では、このようなものを「非地位財」、相対的な支出のことを「地位財」と呼び、難しそうな言葉になっています。
かつ、読みにくく感じる本ではありますが、「収入が多いのに貧乏」って人は、多重債務に陥る前に読んで意識しておくと、救われるかもしれません。
幸せとお金の経済学 | |
ロバート・H・フランク 金森重樹
フォレスト出版 2017-10-21 |
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