弁護士の香崎です。
小田原で、ある事件の現場を見に行きたいと考えていました。しかし、ちょっと駅
から離れたところで、そこまでのバスも本数が極めて少ないことが分かりました。
どうやって行こうかと考えていたら、小田原駅でこんなポスターを見かけました。
観光客用のレンタサイクル。これ、いいんじゃないか。
ある日、裁判所での用事が済み、1時間ほど時間があいた時、小田原城に行
って、300円と保証金1000円(自転車返却時に返される)を払って、借りまし
た。ほぼ新品と思われる自転車です。それだけで感動しました。
カバンが大き過ぎてかごに入りません。落ちないように、ベルトは手でつかんで走
行しました。
競輪場や小田原高校がある方向で、長い坂を上り、結構大変でしたが、費用と機動
力を考えたら最適な手段だったと満足しています。終わり時間が早いのが難点です
が。
ところで、自転車も「軽車両」として、道路交通法上は車両の扱いを受けます。
道路交通法2条1項8号(「車両」の定義)「自動車、原動機付自転車、軽車両
及びトロリーバスをいう。」
同法2条1項11号 (「軽車両」の定義)「自転車、荷車その他人若しくは動
物の力により・・・(以下、略)」
さて、今回の私もそうですが、自転車で歩道を走ることは多いと思います。
自転車で歩道を通行することが許される場所でも、徐行や一時停止により、歩行者
の通行を妨げないように通行しなければなりません(同法63条の4)。
違反には2万円以下の罰金又は科料という刑事罰まであります(同法121条1項
5号)。
今回、坂を上る途中、歩道で高校生の集団に何度もすれ違いましたが、こちらは
上り坂がきつくて自転車を押していたので、徐行状態で、道路交通法上はきっと問
題なかったでしょう。
もっとも、そこの歩道が、自転車が走行してもいい場所だったかは、未確認ですが。
自転車が歩道を通行するのが許されるのは、①道路標識等で許可があるとき、②政
令で定めのある運転者の場合、そして、③「車道又は交通の状況に照らして当該普
通自転車の通行の安全を確保するため・・・やむを得ないと認められるとき」です
(同法63条の4第1項)。
これに当たらない場合、事故が発生すると、歩道を自転車で走行していた者にも過
失があったとされてしまう恐れもあります。ある地裁判例から引用:
「他方,原告にも,自転車は軽車両であり,本件事故現場の歩道は道路交通法上自
転車通行が可能とされておらず,車道を通行すべき義務があったにもかかわらず,
原告自転車を運転して歩道を走行した過失があり,また,前方の注視が不十分であ
ったことにつき落ち度があるといわざるを得ない。」
一応、念頭に置いておかなければなりません。
もっとも、これから暑さ本番で、せっかくの「ぐるりん」も私にとってはまたしばらく
活躍の場がなさそうです。
以上、今日は「ぐるりん小田原」と道路交通法のお話でした。
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