ネットオークションの売買契約成立時期

弁護士石井です。

ヤフオク!などのネットオークションをたまに使います。

このようなネットオークションは、落札したからといって、自分に権利があるとは限りません。

売買契約が成立しているかどうか、で権利が発生するか変わってきます。

ネットオークションと売買契約がいつ成立するか、については、経産省は、個々の取引の性質によって違う、と言っています。

裁判でも争われたケースがあります。

厚木の弁護士事務所

名古屋高裁平成20年11月11日判決では、オークション詐欺に遭った被害者が、売り主ではなく、オークション会社を訴えたケースです。

落札で売買契約が成立するならば、オークション会社はそれを仲介したような立場になるのだから、責任を負うべきだと主張したようです。

このケースでは、オークションのシステムからして、落札しただけでは売買契約は成立していない、と判断され、オークション会社には責任がないとされています。

「落札者は,出品者からの連絡を待ち,交渉をすることになるが,この交渉は,両者が直接電子メール等を使用して行い,被控訴人はこの交渉に何ら関与することはない。この交渉の結果,出品者と落札者が合意に達すれば,商品の受渡し及び代金の支払がされることになる。しかし,合意に達しなければ,出品者は,落札者の意思に関わりなく出品を取り消すことができ(これは,出品取消システム利用料が存在することから認められる)。他方,落札者も,落札後落札を辞退することが可能であり,この場合には,出品者が,最高額落札者を取り消すことになる。
 以上の認定事実に照らすと,落札されても,出品者も落札者もその後の交渉から離脱することが制度上認められており,必ず落札商品の引渡し及び代金の支払をしなくてはならない立場に立つわけではない。そうすると,落札により,出品者と落札者との間で売買契約が成立したと認めることはできず,上記交渉の結果合意が成立して初めて売買契約が成立したものと認めるのが相当である。」

厚木の弁護士事務所-厚木の弁護士

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