取引履歴を自分で取る場合、署名に気をつけてください。

弁護士石井です。

取引履歴を自分で取得する場合の注意点です。

過払い金の相談時に、自分で取引履歴を手に入れて、持ってくる人がいます。

取引履歴があれば、過払い金の請求をした際に争点になりそうな問題があるか分かりますし、そもそも借金が残るのか、過払いになっているのかを計算したうえでチェックすることができます。

これがなくても相談は可能です。

むしろ、多くの人は、取引履歴を持たずに相談に来ます。
ご依頼後に、事務所で手に入れますので、なくても大丈夫です。

ただ、特に信用情報を気にする人に、あらかじめ利息制限法の計算をして、過払いであることを確認してから請求したい、という希望が多いです。

このような人には、「取引履歴を手に入れて持ってくれば、過払いかどうか確認してから手続を進められますよ」と伝えていました。

しかし、最近増えてきたのが、契約者ご本人が貸金業者に対して、取引履歴を取得しようとした際に、過払い金を放棄させるような書面に署名させられてしまうというケースです。

悪質だと思われるケースでは、

借主 「取引の履歴をもらいたいのですが」

業者 「では、ここに署名してください」

借主 「これ、書いても大丈夫なのでしょうか?後で過払い金の請求も考えているのですが」

業者 「はい、それはまた別問題ですので」

後日、過払い金の請求をすると、

業者 「過払い金を放棄する書面に署名している、だから請求は認められない」
「過払い金を請求するにしても、一度署名したのだから減額してほしい」

と主張されるものです。

これはひどい。

特別な事案かと思ったら、何件かこういう話が出てきています。

そして、業者側の書面も、進化しています。

そもそも利息制限法を無視した和解をしても、無効だとして過払い金の請求を認める裁判例も多くあります。

ただ、署名してしまうと、
「一度した和解が無効になるのか?」 
「過払い金を放棄したと認められるのか?」
という争点が出てきてしまいます。

裁判は、争点が多いほど長引きます。

それだけ過払い金を回収するまで時間がかかることになります。

もし、自分で取引履歴を取得して・・・と考えている人は、注意してください。

貸金業者の口頭の説明を信じすぎないように。

何ならやりとりを全部録画・録音しておくくらいの対応が望ましいです。

厚木の弁護士事務所-厚木の弁護士

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