弁護士石井です。
以前に、依頼を受けてヤミ金業者に連絡をしたところ、
「弁護士をつけたからって知るか。本人に直接連絡をする」と言い張る業者がいました。
この業者は、最終的にこちらの言い分を受け入れ、本人に連絡することはありませんでした。
しかし、自らの行為を違法だと把握している業者は、開き直ってしまうことがあるのも事実です。
弁護士をつけ、本人が「連絡は弁護士宛にしてもらいたい」と言っているのに、それを無視して本人に連絡をすると、不法行為となり損害賠償請求をされるリスクがあります。
東京地裁平成17年9月13日判決では、交通事故の事案で、この点に触れています。
被害者が弁護士をつけたとの連絡をしたにもかかわらず、相手方が、弁護士を通さず、
被害者の職場の上司に電話し、
「なぜ職員がこのようなことをするのか」
などと被害者を非難する発言をしたケース。
これが、弁護士依頼権の侵害等にあたるとして、連絡をした側は慰謝料を払わないといけないとしています。
「被告Aが,原告訴訟代理人を通さず,原告本人も通さず,いきなり原告の職場の上司に対して電話をして,本件事故の示談交渉に関して原告を非難するようなことを述べた点は,原告のプライヴァシー権を侵害し,あるいは弁護士依頼権を侵害するおそれのある内容を含んでいたというべきであり,通常の示談交渉の範囲を超え,被害者である原告の受任限度を超えるものとして,不法行為を構成するというべきである」
慰謝料20万円を認定しています。
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