弁護士石井です。
遺産分割で、葬儀費用の扱いが問題とされることがあります。
葬儀費用に100万円かかっており、これを一人の相続人が立て替えたのだから、他の相続人にも負担を求める、といった内容です。
相続人の当事者間で合意されるのであれば良いのですが、合意がない場合、遺産分割の場面では、この葬儀費用は無視されます。
葬儀費用は、相続が始まった(死亡)後に新たに発生した費用だからです。
つまり、遺産とは関係がないもの。
遺産分割の対象となるものではないため、裁判所の判断を求めたときには、何も判断されない、ということになります。
最終的に、一人の相続人が立て替えた葬儀費用を誰が負担するかという問題については、色々な考え方があり、ハッキリ決まっていません。
喪主が負担すべきと言われるケースもありますし、各相続人が公平に負担すべきだというケースもあります。各相続人が負担するとして、どの程度の金額にすべきかという問題もあります。
参列者や葬儀の規模など、葬儀の実質によって変わってきます。
このような実質を踏まえて、立て替えた葬儀費用の精算をおこなう、かつ、当事者間で合意ができない場合には、この精算は、遺産分割の調停とは別の手続でおこなう必要があるのです。
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