弁護士石井です。
弁護士会から毎月送られてくる「自由と正義」
最後に、懲戒処分の内容が載っています。
どのような行為が問題なのか、一応チェックをしています。
昔は、「これは明らかに犯罪でしょう」と感じる処分ばかりでしたが、
最近は、「気を抜くとやりかねない」レベルの行為が懲戒対象になっていることがあります。
今回の2012年5月号の例。
複数人の相続人から事件を受けて遺産分割調停が成立。
その後の事件で受け取ったお金を返金する際、相続人の1名に返金した。
しかし、ほかの相続人からその口座で良いかどうかの確認をしていなかった。
そのため、預り金清算義務違反で懲戒処分。
これは私でもやってしまいそうな行為だと感じました。
相続事件では、複数人の利害が共通している人が同時に依頼してくる場合があります。
「この3人は仲が良いんだ」と弁護士が感じていても、実際は違う。
相続事件の内容としては争っていないものの、他の所で争いがあり、1人を勝手に代表者として
扱うと問題になるということです。
相続事件以外でも、夫婦一緒の自己破産とか、過払い金回収とか、何らかの返金がある場合、
弁護士側で良かれと思って一人に返金することが問題になることもあるのですね。
夫婦だから、家族だから良いってものではない。
全員から同意を取っていると時間と費用がかかることもありますが、このような懲戒処分がされている以上、しっかりと個別同意を取らなければ、と身を引き締めて対応するようにします。
預り金を着服して懲戒されるなら理解できますが、預り金を返金しても懲戒されてしまったのではたまりません。しっかりと注意しないといけませんね。
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