養育費の合意は公正証書より調停

弁護士石井琢磨です。

市役所の相談を担当していると、よく来る相談の一つが、養育費がらみです。

厚木の弁護士事務所-養育費

「養育費を払ってもらうんですけど、紙にでも書いてもらえば良いのでしょうか」

という趣旨の質問が多いです。

統計上、養育費の支払率は高いとは言えません。

それを前提に考えておく必要があります。

口約束

そのあたりの紙に念書

公正証書

調停

という順で支払われる確率は高いかも、というのが現在の私の考え。

口約束よりは、何かに書かせた方が良いです。

ただ、念書のようなものだと、支払われなかったときに、すぐに給料の差押などに動けません。
その時点で、裁判所を使った手続(調停など)が必要になります。

次の段階の公正証書。

公証役場で作成してもらうものです。

公正証書では、お互いの合意があれば、支払ができなかったときには、
「差し押さえされても構いません」
という条項を入れることができます。

これを入れておけば、調停調書や判決と似たようにすぐに差し押さえができるのです。

だから、念書よりは遙かに強いものです。

最後に、調停。

公正証書を作れば、調停調書と同じ効力があるなら、この2つでは、養育費が払われる確率は同じではないかと思うかもしれません。

が、一応、調停調書の場合、払われなかった場合に、家庭裁判所に履行勧告や履行命令という手続を頼むことができます。

家庭裁判所から「払ってよ」と言ってもらうことができるのです。

この制度ができたとき、「裁判所から言っても払わない人が多いのではないか」とナメていましたが、意外に払う人が多いことが統計上明らかになっています。

養育費だけではなりませんが、2011年には履行勧告は、1万5411件利用され、そのうち全部履行されたものが4975件(32.3%)、一部履行が3414件(22.3%)もあるそうです。

一部でも払われたケースが半数以上。

これはかなり効果があると言えるでしょう。

公正証書より多少手間がかかるかもしれませんが、将来のことを考えるなら、調停手続で合意しておいた方が良いのかもしれません。

口約束

そのあたりの紙に念書

公正証書

調停

もちろん、後者のほうが、相手は抵抗する確率が高いです。

そんな相手を動かすにはどうすれば良いか。

心理戦ですよ。

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