網で採ったものよりも、釣った魚の方が、味は良いという。
また、活かして持ち帰ったものよりも、適宜に締めた魚の方が、味に優ると聞く。
なぜか。
釣り上げてただちに締め、即死させることで、与えるストレスが少ないから、
というのが理由のようだ。
暴れて内出血を起こすと、身に血液の雑味も混じり、さらに味を落とす。
生かすことは常に良いとは限らない。
終わらせるということは、時として生かすことより多くの利益を生むことがある。
このように感じる場面は、他にもある。
例えば、うまく行かなくなった事業はどうだろうか。
業績回復の目処が立たない場合、次のような考えも十分成り立つ。
立て直しが困難なのに事業を続ければ、負債が増え、周囲に与える損害が大きくなる恐れがある。
ただちに法人破産を申し立て、事業を止めた方がよいのではないか。
破産すれば会社は消滅する。個人でも事業の継続は困難であろう。
まさに事業の幕引きである。大きな決断が必要である。
苦労を重ねて存続させるのと、どちらが良いのだろうか。
結論は状況次第。
しかし、事業をたたむことは多くのメリットを含む選択肢。
早い段階から検討するに値すると思う。
弁護士 田中
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